ANAホールディングス(HD)がANA、格安航空会社(LCC)のピーチに次ぐ「第3のブランド」と位置付ける「AirJapan」が2024年2月9日、成田-バンコク(スワンナプーム)間で運航を始める。これに先立つ2月6日に成田空港で機体がお披露目され、運営会社・エアージャパンの峯口秀喜社長が報道陣の取材に応じた。
AirJapanが主にターゲットにしているのは、成長が見込める東南アジアからのインバウンド(訪日客)だ。現時点でアジアの3都市に就航することを発表している。日本の航空会社としては、日本航空(JAL)傘下の中長距離LCC、ZIPAIR(ジップエア)が20年6月に運航を開始しており、この3都市はすでにZIPAIRが乗り入れている。峯口氏は「別に競合相手の勝負を挑むため路線ではない」とする一方で、「意識していない、といえばウソになりますよね」とも。「エッジを効かせたサービス」で差別化を図りたい考えだ。
シートピッチの広さと「深めのリクライニング」が強み
AirJapan は2月9日のバンコク線に続いて、22日にソウル(仁川)線、26日にシンガポール線を開設。中期的には関西国際空港と東南アジアを結ぶ路線も検討する。飛行機はANAで使用されていたボーイング787-8型機(JA803A)を改修して使用する。1機での運航を始めるが、24年4月に2号機がお目見えし、25年度末までに6機に増やす予定だ。
ZIPAIRも787-8型機を使用しているが、座席をめぐる方針には違いがある。ZIPAIR は2クラス290席を導入しているのに対して、AirJapanはエコノミークラスのみ324席。AirJapanは前の座席との間隔(シートピッチ)の広さを強調している。アジア最大のLCC、エアアジアが約70~78センチ(28~30インチ)なのに対して、AirJapanが約81センチ(32インチ)。「深めのリクライニングが可能」ともアピールしている。ZIPAIR普通席のシートピッチ約79センチ(約31インチ)だ。