アサヒ「ストロング系」缶チューハイ撤退 高アルコール度数の市場縮む、販売金額はピーク時から25%減

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   アサヒビールは、アルコール度数8%以上の缶チューハイの新商品を今後発売しない。アサヒグループ広報が2024年2月1日、J-CASTニュースBizの取材に明かした。

   いわゆる「ストロング系」と呼ばれるアルコール度数の高いチューハイは、実はコロナ禍前と比べて販売金額が低迷している。人気が定着したとみられたストロング系の今後が、気になる。

  • アサヒビールが販売するストロング系缶チューハイ(J-CASTニュースBiz編集部撮影)
    アサヒビールが販売するストロング系缶チューハイ(J-CASTニュースBiz編集部撮影)
  • アサヒビールが販売するストロング系缶チューハイ(J-CASTニュースBiz編集部撮影)

低アルコールに消費者が移行

   アサヒグループ広報は取材に、2020年にはアルコール度数8%以上の商品を79種類販売していたが、23年には2種類に減らしたと話した。

   調査会社インテージ(東京都千代田区)によれば、ハイボールを含む缶チューハイ市場の2023年の販売金額は5333億円で、そのうちアルコール度数8・9%の商品は約26%を占める。一方、18年と比較すると約17%減少したという。

   アルコール度数8・9%の商品の販売金額だけで見ると、2017年の1510億円と比べて、23年は1365億円に落ち込んだ。また20年と比べると、23年は販売金額が約25%落ちている。

   同社の市場アナリスト・木地利光氏に取材した。ハイボールを含む缶チューハイ市場が伸びる中、アルコール度数8・9%の商品の販売金額は2020年まで上昇したものの、「全体に比べると伸びの勢いがなかったので、構成比は下がり続けました」。その理由を、次のように説明する。

「アルコール度数4~7%の缶チューハイに切り替えた人が多く、アルコール度数を少し下げる傾向がみられました」

「恐らく縮小傾向が続くだろう」

   「ストロング系」チューハイの販売金額は、2020年をピークに下降線となる。これは、コロナ禍の影響があるのではないかと木地氏は指摘する。

   ストロング系には短時間で酔うことができる特徴がある。コロナの感染拡大期、通勤時間のない在宅勤務の増加とともに「短時間で酔う飲酒」が求められなくなったのではないかとの推測だ。加えて、「飲酒後の時間を大切にしたい」という人や、コロナ禍における健康志向の高まりで、ストロング系を避ける場合もあったのではないかという。

   今後のストロング系市場の見通しを、木地氏は「恐らく縮小傾向が続くだろう」とみる。飲み過ぎによる健康への影響や、自分の時間を大切にしたいという需要があるというのだ。また、若年層を中心にお酒離れが進んでいたり、酔わなくても晩酌気分が味わえるノンアルコールが登場していたりと、「酔わなくてもいい」というトレンドが広がっている点も挙げた。

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