コロナ禍の中でのワクチンに関するX投稿を分析して、ワクチン反対派(通称・反ワク)になるきっかけを明らかにした東大教授らの研究発表が、X上などで大きな反響を集めている。
ネット炎上などを分析したヤフーニュース・オーサー投稿でも知られる東京大学大学院工学系研究科の鳥海不二夫教授(計算社会科学)ら4人の研究グループが2024年2月5日に同研究科サイトなどで発表した。
「陰謀論やスピリチュアリティなどへの関心がきっかけ」
「人はなぜワクチン反対派になるのか ―コロナ禍におけるワクチンツイートの分析―」。こんなタイトルでプレスリリースが出ており、それによると、2021年1~12月に「ワクチン」を含む約1億件のX投稿を集め、機械学習を利用して新たにワクチン反対派になる人などの特徴を明らかにした。
ワクチン反対派については、ワクチンに反対する投稿やリポストをしているアカウントを特定し、そのアカウントを多くフォローしているユーザーとして定義した。
分析の結果、ワクチン反対派は賛成派と比べて政治的関心が強いことが分かった。また、コロナ禍の前から反対派であったユーザーはリベラル政党とのつながりが強い傾向を示し、一方で、コロナ禍から反対派になったユーザーは政治的傾向が弱く、陰謀論やスピリチュアリティ、自然派食品や代替医療に傾倒していた。例えば、「集団ストーキング」「テクノロジー犯罪」「波動」「宇宙」「スピリチュアル」「柔軟剤」などの表現を使うことが多かったという。
分析では、新たに反対派になったユーザーは、陰謀論などへの関心がきっかけで反ワクチンに目覚めていったことを示した。そして、22年3~9月に反ワクチンを掲げる参政党のアカウントをフォローする率が急上昇したとして、こうした同党への支持が、同年の参院選における議席獲得に貢献した可能性も指摘した。