SNS「ターゲティング広告」が、罠の第1段階
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当した国民生活センター相談情報部の飯田周作さんに話を聞いた。
――年間10万人近くの人が、それも50歳以上の人生経験豊富な多くの人が「定期購入」をめぐる悪質な商法に引っかかることが理解できないのですが。
飯田周作さん 「初回〇〇円!」というSNSの広告の安さに惹かれてアクセスして、ポチポチとスマホを安易に操作しているうちに、きちんと最終画面で契約内容を確認しないまま送信してしまうケースが多いと思われます。
私たちは業者に対して、とりわけ「安さ」ばかり強調しないで、わかりやすい画面にしてほしいとお願いしているのですが、大手の通販サイトと違った広告がSNSに飛び込んでくるシステムに問題があると考えています。
――どういうことですか。
飯田周作さん 【事例1】では、もともとダイエットに関心のある60歳代女性にダイエットアプリの広告が目に飛び込んできました。【事例2】では、白髪を気にしていた70歳代女性に育毛エッセンスの広告が目に入ってきました。
どちらのケースも、おそらくSNSをいじっている時に、一番上位の目立つところにそうした広告がアップされただと思います。
これは「ターゲティング広告」だと思われます。その人が過去にパソコンやスマホで閲覧した履歴データから、その人の興味・関心を割り出し、その人にマッチした広告をピンポイントでSNSの上位に提示するシステムです。【事例3】の40代女性も、普段から化粧品関連を閲覧していたから、ファンデーションの広告に飛びついたのでしょう。
――つまり、最初から狙われているわけですか。
飯田周作さん その人の利益にあった広告が集中的に入るわけですから、利便性にかなっている面もありますが、ふだん使い慣れた大手のネット通販と違い、初めてアクセスする広告には細心の注意が必要です。
初回の安さに惑わされずに、「定期購入」になっていないかどうか、しっかり確認しましょう。1回だけのつもりで注文しても、「定期購入」が条件になっていて、中には、2回目から分量が多くなったり、高額になったりするケースがよくあります。
また、「定期縛りなし」「いつでも解約可能」と広告ではうたいながら、事実上「定期購入」で、初回の低価格だけ購入して2回目以降を解約すると、高額の違約金を請求される例もあります。
そうしたことは、画面の下まで何度もスクロールしないとたどり着けない場所に、小さく書かれていたりするので、送信する前に、「最終確認画面」でしっかり確認しましょう。【図表1】がそのチェック内容です。