3時間の面談で不満が大爆発! 猛反発だった3人の「ベテラン年上部下」がそれでも心強い味方になった理由

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

傾聴と承認が、信頼関係の基礎に

   このエピソードが教えてくれるのは、次の点です。

   第1に、なんといっても傾聴することの大切さです。

   Aさんは部下たちとの対話を軽視したわけではありません。しかし、ベテラン部下たちの気持ちに耳を傾けることが十分ではなかった。その不満が、面談の場で爆発したわけです。

   その結果、本人たちが言いたいことを言い尽くし、「わかってもらえた」感、「受け入れてもらえた」感を持つことができ、氷解が起こったわけです。

   昨今は、1on1面談で上司が部下の話を傾聴することが奨励されます。しかし、上司が相当に意識しない限り、部下が本音を語ることは至難です。本エピソードでは、結果として「雨降って地固まる」結果でした。

   第2に、経験値のあるベテラン部下ほど、自分自身の中に、仕事のポリシーやこだわりを持っているということ。それだけに、彼らにとっては自らそれを活かし、前向きに動こうと思えることが大切です。

   したがって、上司が一方的に方針や答えを示すのではなく、部下自身に考えてもらい、自ら決めさせること。それが、本人のやる気と活躍を引き出すのです。

   第3に、年上のシニア部下とのコミュニケーションのあり方です。

   年上部下とは、ややもすると反目し合うか、腫れ物のように触らず敬遠するか、持て余す上司が少なくありません。

   部下の側は、年下上司に自分の経験やプライドを無視されたと感じると、傷つき、頑なになり、敵がい心すら抱きがちです。年上ゆえの遠慮から、上司を含め若い世代の邪魔になるまいと、殻に閉じこもるケースもあり得ます。

   年下上司がシニア部下の気持ちを受け止めつつ、本人の持ち味を認め、尊重し、頼りにする関係が築ければ、心強い味方にもなってくれる。本エピソードはその好例でしょう。

(紹介するエピソードは実際にあったものですが、プライバシー等に配慮し一部変更を加えています。)



【筆者プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお):株式会社FeelWorks代表取締役。青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授。人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業のFeelWorks創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。近著に、『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)。

1 2 3 4
姉妹サイト