猛反発していたシニア社員が、頼もしい片腕部下に!
そして翌週明けのこと。
その年には会社の周年記念事業があり、オウンドメディア内でもなにか仕掛けを打つ必要がありました。Aさんは部署内でどのように担当や体制を決めるか、悩んでいるところでした。
これまで登場してもらった関係者へのインタビュー企画や、お祝いコメントを集めるなど、かなりパワーがいる仕事。ただでさえリニューアルで忙しいメンバーの誰に頼むか、悩ましいところでした。
すると、先週面談したリーダー格のベテラン部下が、おもむろにAさんのデスクのところにやってきて、言いました。
「あの周年企画、どうするつもりです?」
Aさんは「いや、どう進めようかと、ちょうど悩んでいたところなんですよ」と打ち明けました。
すると「その担当、私がやってもいいですよ」と言うのです。
「えっ! あなたがやってくれるのですか?!」
Aさんが驚いて聞き返すと、「きっと、この部署で昔からのことをわかってるのは自分なんで。これまでの関係者の方々とのつながりもありますから。一番適任だと思いますよ」と言うではありませんか!
猛反発し、散々罵声を浴びせていた彼が...です。Aさんは狐につままれた気持ちでしたが、協力的な態度への変貌が嬉しく、喜んで担当を頼むことにしました。
◆「もっと彼らの気持ちに耳を傾けることが必要だった」
Aさんは気づきました。
「実は低迷している組織を改革する必然はみなわかっていたんだ。自分はリニューアルを急ぐあまり、方針を一方的に押し付け、現場で頑張ってきたベテランのみなさんのプライドを傷つけてしまっていた。課全体の場で意見を聞いたものの、十分ではなかった。もっと彼らの気持ちに耳を傾けることが必要だったわけで、あの面談が意図せずその場になったんだ」
この出来事を皮切りに、Aさんとベテラン部下たちは親しくなり、時々一緒に飲みにも行くほどに。周年事業の進行はもとより、その後も何かとAさんをサポートしてくれるようになりました。
彼らの豊富な経験や知見のおかげで、リニューアルも大成功。1年でユーザーが10倍に増えたのです。