スポーツジムのトラブル急増!ネットで申し込める便利さに「落し穴」 入会時に辞めること考えない人多すぎ

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   最近、コンビニ方式の24時間フィットネスルームやオンラインのヨガ教室など、新しいスタイルのスポーツジムが花盛りだ。

   ネットを申し込むところが増え、入会が簡単になったが、続かなくなり止める時のトラブルが急増している。

   国民生活センターが2024年1月24日、「スポーツジム等の契約トラブルにあわないために」という警告リポートを発表した。いったい、どんなトラブルが起っているのだろか。

  • スポーツジムは、辞める時まで考えて契約しよう
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  • 女性ユーザー限定のスタジオなど、スポーツジムも多様化
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「無料お試し」と思ったら、毎月1万円

   国民生活センターによると、運動施設や指導を提供するスポーツジムやフィットネスクラブ、個室のパーソナルジム、ヨガ教室、ピラティス教室など――これらに関するトラブル相談は、年間4000~5000件近く寄せられている。

   最近は、オンラインによる店舗のないヨガ指導や、24時間営業のコンビニ方式の無人ジム、女性ユーザー限定のスタジオなど、スポーツジムも多様化しており、入会もスマホだけのオンラインでできるところが多い。

   それだけに、トラブルもさまざまだ。代表的な事例を紹介すると――。

【事例1】

   友人とピラティスの無料体験に行った。体験後、2か月間は無料でその後月額が1万円以上に上がる1年間継続の契約を勧められた。

   途中で解約する場合は違約金2万5000円がかかるとの説明も受けた。契約を迷ったが、友人も入会したので契約した。コースは来月から始まる。

   帰宅後によく考えると、月額1万円以上も支払えないと思った。店舗に解約を伝えると、「コース開始前でも2万5000円の違約金を請求する」と言われた。違約金を支払わずに解約したい。(2023年6月・20歳代女性)

【事例2】

   約2年前、1か月間3000円で通い放題というフィットネスクラブの体験キャンペーンのインターネット広告を見て店に行った。

   2か月間の体験後3か月目以降月額1万8000円の通常料金となるプランの契約を勧められ、クレジットカード決済で申し込んだ。1か月後、やはり自分には合わないと思ったので受付の担当者に解約を申し出た。

   「わかりました」と言われたので、解約を承諾されたと思った。ところが先月、クレジットカードの利用明細を確認すると、フィットネスクラブの利用料として1万8000円が引き落とされていることに気が付いた。

   カードの明細を見ると、解約申し出の翌月から毎月1万8000円が引き落とされていた。事業者にメールで事情を伝えて返金を求めると、「今から解約手続きはするが、解約を申し出た際に、所定の書面が提出されていなければ返金はできない」と返事があった。

   そもそも私はその書面を受け取っていない。解約を申し出た日時を覚えておらず、対応した担当者の名前もわからないが、利用していないので返金してほしい。(2023年8月・30歳代女性)

【事例3】

   オンラインヨガ教室のインターネット広告を見て、無料お試しキャンペーンに申し込んだ。サイト上の規約等は確認していない。新規会員登録をした際にクレジットカード番号を入力したが、料金が発生するという認識はなかった。

   ところが、先日カード利用明細に先月分の月会費として1万円の請求があった。さかのぼると、先々月も半月分として5000円が決済されている。お試しの期間も含めて、1回もレッスンを受けていない。

   「無料登録のみのつもりだったので、返金してほしい」と事業者にメールを送ったが、「キャンペーン期間終了後は自動的に通常プランに移行すると、サイトに記載している。返金はできない」と返信がきた。納得できない。(2023年6月・30歳代女性)

【事例4】

   インターネット広告をみて、格安のスポーツジムを申し込んだ。全ての手続きをネット上で済ませるシステムで、店舗にスタッフは誰もいない。入会から3か月目に入り、都合によりやめたくなった。

   事業者の公式ホームページには、解約する場合はスマホで手続きするよう案内が出ている。指示のとおりに操作し、必要記載事項も全て入力したが、途中で画面の操作ができなくなり、先に進めなくなってしまう。

   事業者の電話番号へ電話しているがつながらず、無人店舗なのでスタッフに直接聞くこともできない。このままでは支払いが続いてしまうので、解約手続きをしたい。(2023年8月・60歳代男性)

解約時の手続きをよく確認しない人が増えている

   J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を行なった国民生活センター相談情報部の横山彩香さんに話を聞いた。

――ズバリ聞きますが、今回取り上げた4つの事例は、事業者のほうが消費者をひっかけようとしたのでしょうか。それとも、契約をよく確認しなかった消費者のほうが悪いといえるのでしょうか。

横山彩香さん どちらがいいとか、悪いとかいうことではありませんが、今回の啓発リポートは、スポーツジムで契約する時は、辞める時のことまでよく考えてから契約を確認しよう、という呼びかけです。

だから、4つの事例とも業者のほうに最初から消費者をひっかけようという悪意はありません。消費者が契約をしっかり確認して、丁寧に説明を聞いておけばトラブルを防げたケースばかりです。

――以前、国民生活センターが取り上げたスポーツジムのトラブル(たとえば2018年10月)では、「絶対に痩せられる」と言って高額なサプリを強引に買わせられたとか、威圧的な勧誘で強引に入会させられたといった問題点を指摘していました。今回はそういう悪質なケースとは違うのですか。

横山彩香さん 健康サプリの問題などは、いまだにないとは言いませんが、今回はいざ辞める段になって「違約金のことは知らなかった」などと後悔するケースに焦点を当てました。

というのは、最近、コンビニ方式の24時間ジムとか、店舗がないオンライン教室とか、多様なスポーツジムがテレビやYouTube動画で盛んにCMを行なっています。

便利で身近になる一方、入会手続きをネットだけで済ませるなど簡略化したため、解約時の手続きをよく確認しない人が増えているからです。

――私もスポーツジムに通いましたが、入会する時は「〇〇キロやせて体を絞る」とか、「マラソンで〇〇時間を切る」とか、目標を掲げてやる気満々ですから、たしかにジム通いが続かなくなるケースなんか考えないですね。

横山彩香さん そのとおりです。入会する時に辞める時のことまで考える人は少ないです。しかし、ジム通いを継続できない人は多いですから、契約の際はしっかり確認しないと痛い目に遭います。

たとえば、【事例1】は、契約の場でちゃんと説明を受けているのに、まだ利用していないから、勝手に解約できると思い込んでいます。解約を軽く考えているのです。【事例2】も解約を申し込んだ時、口頭だけで済まさず、きちんと書類を受け取るべきでした。これも、解約を軽く考えています。

【事例3】の「無料お試しキャンペーン」に申しこんだら、後から通常プランに自動変更され、毎月会費が引き落とされたというケース。

このケースなどは、そもそも事業者は「無料お試し」ばかりやっていては商売になりませんから、引き続き一定期間通常プランに入ってもらうことを前提にキャンペーンをするものです。そのことは、キャンペーンの紹介文に載っています。

仮に、悪質な業者なら、サイトの一番下の、スクロールしないと見えない箇所に、非常に小さな字で書いてわかりにくくするものです。しかし本件の場合は、サイトの最上段にわかりやすく明記されております。

「無料お試し」だと業者は損、元を取るのは当然

――「無料お試し」だけやって、タダでトクする......そういうことはあり得ないわけですか。

横山彩香さん 通常プランに更新されるケースが多いですから、登録して「お試し」をする前に事業者に、「お試し」だけで解約できるかどうか、しっかり確認をとるべきです。キャンペーンで安くなっている分、事業者は通常プランで元を取らなければなりません。

――なるほど。しかし、【事例4】のスマホで申し込んだ格安ジムを解約できない60代男性のケースは、スマホ操作に難点があるようだし、業者側も少し、対応が不親切ではないですか。

横山彩香さん 電話がつながらないということですが、混雑してつながらないのかもしれないし、事業者の本社を調べて電話をかける方法もあります。事業者のホームページに消費者対応の情報が出ている場合もあります。

いずれにしろ、ネットで申し込むと、手軽にできる分、スタッフから直接説明を受けられないので、契約時にはより慎重な対応が必要です。

今回取り上げた業者は、コロナ後に生まれた新しいサービスのスポーツジムが中心です。ネット申し込み、月額制、安価なため人気になっており、退会する時のことまで頭が回らないかもしれません。ぜひ、解約時の連絡先や清算方法、プランの期間、そして途中で解約した場合の違約金の額までしっかり確認しましょう。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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