「ソニー」就活生人気は昭和、平成、令和と変わらず 事業は昔とかなり違うけれど

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   ソニーが就活生の間で、人気だ。文化放送の就職サイト「ブンナビ!」が2024年卒の学生1万4000人を調査した「真剣に入りたい企業」ランキングによると、理系学生で1位、男子学生で3位となった。

   1980年代以降、「就職したい企業ランキング」入りの常連だったソニー。特に、理系学生からの支持が厚かった。時代が変わって2024年、当時と比べると業態も事業構成も大きく変化している。それでも学生を引き付ける魅力はどこにあるのだろうか。

  • 近年のヒット商品「PS5」
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  • (図表1)ビジネス別売上高構成比1999年度(出典元:ソニー)
    (図表1)ビジネス別売上高構成比1999年度(出典元:ソニー)
  • (図表2)売上高構成比2023年度上半期(出典元:ソニー)
    (図表2)売上高構成比2023年度上半期(出典元:ソニー)
  • (図表3)ソニー就職人気ランキング順位(出典元:マイナビ)
    (図表3)ソニー就職人気ランキング順位(出典元:マイナビ)
  • (図表4)理系学生がソニーを選ぶ理由(出典元:マイナビ)
    (図表4)理系学生がソニーを選ぶ理由(出典元:マイナビ)
  • (図表5)文系学生がソニーを選ぶ理由(出典元:マイナビ)
    (図表5)文系学生がソニーを選ぶ理由(出典元:マイナビ)
  • 近年のヒット商品「PS5」
  • (図表1)ビジネス別売上高構成比1999年度(出典元:ソニー)
  • (図表2)売上高構成比2023年度上半期(出典元:ソニー)
  • (図表3)ソニー就職人気ランキング順位(出典元:マイナビ)
  • (図表4)理系学生がソニーを選ぶ理由(出典元:マイナビ)
  • (図表5)文系学生がソニーを選ぶ理由(出典元:マイナビ)

エレクトロニクスが売り上げ構成比65.7%

   働き盛り世代からシニア世代にとっては、ソニーといえば「ウォークマン」かもしれない。1979年に発売された、世界初のポータブルステレオカセットプレーヤーは大ヒットを記録した。昭和から平成初期にかけて、ソニーはエレクトロニクスで国内メーカーをリードする存在感があった。

   確認できた最も古い決算資料は、1999年のもの。当時の売上高は6兆6866億6100万円、営業利益は2406億2700円だった。分野別の売上高では、エレクトロニクス事業が4兆7196億2500万円で構成比が65.7%。このほか、94年に初代プレイステーションを発売したゲーム事業が6547億3600万円(構成比:9.4%)、音楽事業が7068億8400万円(同:10.0%)、映画事業が4920億9700万円(同:7.4%)、保険事業が3803億1900万円(同:5.7%)だった(図表1)。

   さらに、公表されているエレクトロニクスの商品構成比によれば、世界初の「MDウォークマン」を販売していたオーディオ事業が14.0%、家庭用ビデオカメラが14.6%、テレビが10.7%、情報・通信機器が15.7%、電子デバイス・その他が10.7%となっていた。

ゲーム、エンタメ、イメージセンサーが主力

   2000年代後半から、ソニーは業績が低迷。一時は赤字に転落し、リストラや不採算事業の整理を実施して次第に業態の転換を図った。

   年度別決算資料で最新の、2022年度の連結業績概要を見てみよう。売上高は11兆5398億円、営業利益は1兆2082億円だ。分野別売上高で最大なのは、ゲーム&ネットワークサービス事業で3兆6446億円。以下、音楽事業1兆3806億円、映画事業1兆3694億円、エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)事業2兆4760億円、イメージング・センシング・ソリューション(I&SS)事業1兆4022億円、金融事業1兆4545億円、その他876億円となっている。

   次に、2023年上半期連結業績発表資料に掲載されている分野別構成比。ゲーム&ネットワークビジネス29.1%、音楽13.0%、映画12.4%、ET&Sは20.2%、I&SSは11.1%、金融13.5%、その他0.6%。現在の事業の柱はゲームのハードとソフト、コンテンツを中心にしたゲーム&ネットワークビジネスとなっている(図表2)。

今どきの学生は安定性、将来性を評価

   マイナビキャリアリサーチLaboの栗田卓也所長に取材した。1980~2023年における就職人気企業ランキングの文系理系学生におけるソニーの順位を、5年間隔でまとめた資料を示してくれた(図表3)。

   「1980年代の理系の人気トップは、NECや日立製作所といった総合家電メーカーです。ソニーはトップ10に入りながらも、7位や5位でした」。90年代に入ると、ソニーは「プレイステーション」の発売やテレビCMによって、「理系ではトップ3に、文系の学生でも『斬新な製品を作るメーカー』という認知が上がり、人気が高まった」と説明した。

   しかし、2003年に転機があった。「ソニーショック」と呼ばれる株価の暴落によって理系・文系ともに10位以上順位を落としたという。その後、大きく業態を転換した2020年には理系1位、文系7位。23年には理系1位、文系12位になっている。

   理系学生がソニーを選ぶ理由として、2000~2024年を通じて上位に入っているのが、「業界上位である」、「技術力がある」という点。一方で、2024年のみの結果では、「安定している」、「将来性がある」が順位を上げている。会社を選ぶ理由が変化していることがわかる(図表4)。

   文系学生の理由も見てみると、2000年代や2010年代は「技術力が高い」、「企業イメージが良い」が上位。ただ2024年の結果では「安定している」、「業界上位である」、「将来性がある」といった理由が上位だ(図表5)。

   栗田所長は、ソニーが就活生に人気の理由をこう評した。

「エレクトロニクスのメーカーとしても、今のソニーでも、オリジナリティーがあって常に新しいものを追い続けていることが、古びないのだと思います。また、ソニーグループとして業態を広げているチャレンジングな気風が、(学生に)魅力を感じさせるのではないでしょうか」
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