今どきの学生は安定性、将来性を評価
マイナビキャリアリサーチLaboの栗田卓也所長に取材した。1980~2023年における就職人気企業ランキングの文系理系学生におけるソニーの順位を、5年間隔でまとめた資料を示してくれた(図表3)。
「1980年代の理系の人気トップは、NECや日立製作所といった総合家電メーカーです。ソニーはトップ10に入りながらも、7位や5位でした」。90年代に入ると、ソニーは「プレイステーション」の発売やテレビCMによって、「理系ではトップ3に、文系の学生でも『斬新な製品を作るメーカー』という認知が上がり、人気が高まった」と説明した。
しかし、2003年に転機があった。「ソニーショック」と呼ばれる株価の暴落によって理系・文系ともに10位以上順位を落としたという。その後、大きく業態を転換した2020年には理系1位、文系7位。23年には理系1位、文系12位になっている。
理系学生がソニーを選ぶ理由として、2000~2024年を通じて上位に入っているのが、「業界上位である」、「技術力がある」という点。一方で、2024年のみの結果では、「安定している」、「将来性がある」が順位を上げている。会社を選ぶ理由が変化していることがわかる(図表4)。
文系学生の理由も見てみると、2000年代や2010年代は「技術力が高い」、「企業イメージが良い」が上位。ただ2024年の結果では「安定している」、「業界上位である」、「将来性がある」といった理由が上位だ(図表5)。
栗田所長は、ソニーが就活生に人気の理由をこう評した。
「エレクトロニクスのメーカーとしても、今のソニーでも、オリジナリティーがあって常に新しいものを追い続けていることが、古びないのだと思います。また、ソニーグループとして業態を広げているチャレンジングな気風が、(学生に)魅力を感じさせるのではないでしょうか」