「ゆうパック」配達が半日遅くなる 「2024年問題の対応」利用者は寛容も専門家は解決に疑問符

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   「配達の遅れ」と引き換えに、人手の問題は解決するのか。日本郵便は2024年1月30日、一部地域で「ゆうパック」と速達郵便物(レターパックを含む)の配達にかける日数を、4月1日から延ばすと発表した。

   郵便物を輸送するトラック運転手の時間外労働規制が強化される「2024年問題」への対応が理由で、半日程度の遅れとなるもよう。これが根本的な解決になるのか、また利用者の反応は。取材した。

  • 日本人は郵便配達の速さに慣れすぎてしまっている!?
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「労働環境改善のためなら」と理解

   今回の改正の具体例を見てみよう。日本郵便の公式サイトに、「郵便局窓口におおむね12時までにお出しいただく場合」の説明がある。北海道函館市から東京23区に「ゆうパック」を出す例が出ている。現状では、その配達時期は「翌日夕方・夜間」。だが、4月1日以降は「翌々日午前」となると記載されている。

   「2024年問題」に対応するうえでのこうした遅れの発生を、利用者はどう受け止めるのか。5人から生の声を拾った。

   40代男性のAさんは「積極的に賛成ではないですが、別に(配達を)遅らせてもいい」と回答。2日ぐらいは遅くなっても許容できるという。「現場の配達員がストレスを抱えるような労働環境を改善した方がいいと思います」。40代男性Bさんも「消極的ながら賛成」。あまり通販を使わないので、1週間程度でも気にしないそうだが、「追加料金で『お急ぎオプション』のようなものはあるといいと思います」と提案した。

   30代女性のCさん。価格据え置きで労働環境を改善させるためならやむを得ないと考え、「消極的に賛成」。遅れ幅は「半日まで」が許容範囲としつつも、「翌日夕方・夜間」が「翌々日午前」になるのは、「配達側から見れば半日の遅れでしょうが、ユーザーから見ると1日遅れとなり、望ましくない」と手厳しい。

   40代女性のDさんは、「今より2~3日遅れても問題ありません。早く届けて欲しかったら、追加料金払えばいいと思う。みんなサービス求め過ぎ!」と、「積極的に賛成」。70代女性のEさんも「労働環境を守るためにと言われたら、半日1日は全くもって許容範囲です」と、やはり「積極的に賛成」との考えだ。

   温度差はあれど、基本的には5人全員が半日程度の遅れに理解を示した。

宅配便と「ゆうパック」ユーザー層が分かれるか

   郵便学者の内藤陽介氏に取材すると、「郵便局の現場は慢性的な人手不足ですが、現場の声を聞く限り、今回の半日程度の遅れでは2024年問題を解決できないレベルのもの」と指摘し、こう続けた。

「当然ながら、労働環境も良くならないでしょう。恐らく、4月1日以降、当初の目標である半日程度の遅れでは済まず、配達期間のさらなる変更が近い将来に発生するのではないでしょうか」

   日本国内では、2021年9月末まで、地域によっては普通郵便で翌日配達が行われていた。そのため、「日本のユーザーは翌日配達に慣れすぎてしまっている」とも。なお、宅配便は翌日配達エリアがいまだに存在している。

「今後、高額でも良い人は宅配便、配達が遅くても良い人はゆうパック、という具合に、ユーザー層が分かれていくのではないでしょうか」

(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)

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