コロナ禍中、最も身近だったスマホ&デジタルコンテンツ
――ここ数年の傾向として、デジタルコンテンツ提供企業への人気が高いようです。これはなぜでしょうか。
大塚氏 コロナ禍の「巣ごもり消費」が、就活にも影響したといえると思います。コロナ禍中に大学生活を過ごした世代(たとえば2020年、2021年に大学入学)が就職活動に取り組んでいるので、彼らの志向がランキングにあらわれているのでしょう。
たとえば、コロナ禍前はアミューズメントやレジャー、旅行など外に出ていくことが学生にとって身近なことで、そうした企業が就職人気企業ランキングの上位にもきていました。ところが、コロナ禍中、最も身近だったものはスマートフォンでした。
――たしかにそうですね。
大塚氏 さらに、です。コロナ禍中、なかなか学校に通えず、通常の学校生活も送りにくかったと思います。授業もリモートだったり、録画データによるものだったり。また、サークル活動もできず、友達もつくりにくかったかもしれません。そんな時、スマートフォンで見るアニメなどの「デジタルコンテンツ」が身近でしたし、同時期には漫画アプリも定着していました。
そうした背景があり、前述のように、大学生は生活に身近な企業に関心を持つため、就活を考えた際には、デジタルコンテンツを提供する企業への関心が高かったのでしょう。
――思えばこの時期、週刊少年ジャンプ(集英社)の『鬼滅の刃』、週刊少年マガジン(講談社)の『東京卍リベンジャーズ』など、ヒット作が続いていましたね。
大塚氏 そうですね。それらのコンテンツは、スマホで遊ぶソーシャルゲームなどとコラボすることもよくありました。そのゲームが面白かったから、コンテンツを提供する大元の企業である出版社への関心も高まったのだろうと思います。
いずれにしても、大学生にとって自分が身近に触れているかどうかが、企業選びに大きく影響するのです。