小学校で始まったICT教育で、スマホが必要に
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当したモバイル社会研究所の水野一成さん(子ども・シニア・防災調査担当)に話を聞いた。
――小学高学年のスマホ所有率が、2020年で20%なのに、3年後の2023年には42%と2倍以上に急速にアップしましたが、背景には何があるのでしょうか。
水野一成さん ICT教育によって子どもたちの創造性を高めるために、文部科学省が2019年から始めた「GIGAスクール構想」の影響が特に出ているのが小学生高学年だと思います。「GIGA」(ギガ)は「Global and Innovation Gateway for All」(全ての児童・生徒のための世界につながる革新的な扉)を意味します 。
これは、全国の児童生徒にパソコン端末1人1台と、そのパソコンをインターネット環境につながるようにするための校内LANや無線LANなどの高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するものです。この構想のおかげで、子どものICT利用の状況が大きく進みました【図表3】。
当研究所の調査では、小学高学年では学校で貸与されるタブレット・パソコンが2020年にはわずか3%でしたが、2022年には一挙に82%に急上昇しています。それにつれて、子どもたちが家庭にあるタブレット・パソコンを利用する割合も、33%から63%まで大きく伸びています。
――たしかに、登下校、あるいは塾や習いごとなどの送り迎えで、安全のために小学生の間から子どもに携帯電話を持たせる家庭は増えています。
しかし、そういった需要であれば、スマホでなくとも家族や学校など、特定の人との通話に機能を限定し、GPSや防犯ブザーの機能を備えた「キッズケータイ」があります。
それなのに、小4~6年のキッズケータイ所有率は大きく減少しています。この理由は何でしょうか。
水野一成さん いくつか要因がありますが、1つは通信料金が安くなっていることがあるのではないでしょうか。当研究所の調査では、現在、小学生のスマホの平均利用料金は月3000円未満が約9割になり、高いと思わない親が増えています。
また、GIGAスクール構想が本格開始したことで、子どもたちがわからない言葉の検索や宿題の調査など、キッズケータイではできないことまで行うようになり、スマホのスキル・リテラシーが上がったことも背景にあると思います。