「必ず儲かる」と言われた時点で、完全な詐欺
――こうした悪らつな詐欺に引っかからないためには、どうしたらいいでしょうか。
岩崎直子さん まず、「必ず儲かる」とか「簡単に儲かる」話など絶対にない、もしあれば、世の中お金持ちだらけになる、と思ってください。そもそもFX取引を扱う金融商品取引業者は、「必ず儲かる」といった断定的な判断を提供することを禁止されています。
次に、事例で紹介したようなグループチャットの罠の手口を知ってほしいです。FX投資の広告でそれを見たら、「ははん、これか。詐欺だな」とピンときてほしいです。
――事例の中には、「FX口座で2倍以上の儲けが出たので、そのうちの10数万円の出金を申し込んだら、ちゃんと自分の口座に入金された」というケースもありますね。
岩崎直子さん それは「撒き餌」です。「儲けが出た」といっても本当かどうか、わかりません。画面上でいくらでも細工ができます。エサを巻いて信用させて、もっともっと入金させる常套手段です。
そして、数回にわたり1000万円近く振り込んだところで、「出金するには税金を支払わなくてはならない」と言って、出金を拒否したうえ、連絡が取れなくなります。
そもそも、税金は国や地方自治体に自分が支払うべきものであって、個人に支払うものではありません。全くのウソ。税金の支払いを要求された時点で、「ははん、詐欺だな」とピンときてほしいです。
それ以前の段階で、FX取引の証拠金を個人名義の口座に振り込ませるケースが非常に多いです。しかし、FX取引は金融庁に登録された金融商品取引業者しか取り扱うことができませんから、法人名義以外の個人名義の口座に振り込ませる時点で、完全にアウト、詐欺です。
――そうすると、基本的な知識の欠如から騙されるシニアの人々が非常に多いということですね。
岩崎直子さん 残念ながら、その通りです。被害を防ぐポイント1は、FX取引についてしっかり勉強すること。その2は、業者についてきちんと調べること。最低限、何かあった時の連絡先の電話番号くらい知っておきましょう。実は、電話番号だけでは心配です。
金融庁ではウェブサイトで「免許・許可・登録等を受けている金融商品取引業者一覧」を公開しています。ここに載っている業者以外と取引しては絶対にいけません。ウェブサイトには過去に問題を起こして警告された業者も載っていますから、しっかりチェックして、退職金などの老後資金を守ってください。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)