シニアが騙されるのは、スマホに慣れていないから
J-CASTニュースBiz編集部は、調査を行なった国民生活センター相談情報部の岩﨑直子さんに話を聞いた。
――騙されるケースをみると、SNSでFX取引の広告を見てアクセスし、LINEの投資グループチャットの「儲かりますよ。一緒に稼ぎましょう」「〇〇万円稼ぎました」という成功体験のカキコミを信用して数百万円、1000万円という巨額のお金を注ぎ込むというパターンが実に多いですね。
私も現在70歳代男性ですが、おそらくビジネスの世界で生きてきたであろう60歳、70歳代の社会経験が豊富なはずの人たちが、こうも簡単にだまされることが驚きです。なぜ、顔もわからない相手の詐欺に引っかかるのでしょうか。
岩崎直子さん LINEの投資グループチャットの「儲かった」「稼いだ」というカキコミは、みんな詐欺グループのサクラです。本当に実在する人物か、男性か、女性か、極めて怪しいです。
それでも信用してしまうのは、あくまで推測ですが、60歳、70歳代以上の方々は、シニアになってからスマホを始めた人が多いのではないでしょうか。若い世代には、SNSに架空人物が多いことは織り込み済みですが、シニアの人々は、SNSにまだ慣れていない。だから、その危険性がよくわかっていないのだと思います。
LINEでグループチャットをやっても、かつて知っている仲間と携帯電話やメールでやりとりしたリアルな人間関係と同じだと思う傾向があるのではないでしょうか。普段の友だちと同じ感覚で接していると思います。
――なるほど。私もLINEのグループチャットを始めてまだ2、3年です。今のところ家族や趣味仲間、昔の会社の同僚とか、知っている「リアルな相手」としかやっていません。LINEの相手に架空人物がまぎれこんでいるとは、考えたくもないですね。
岩崎直子さん もう1つシニア世代がだまされやすい理由は、年金だけでは足りない、老後資金を増やしておきたい、という切実な思いがあるからでしょう。
投資に関心を持ち、インターネットで検索すると、FX投資の広告が上位に表れてくるというシステムも、個人的には問題があると思いますが、ちょっとアクセスしてのぞいてみたいという気持ちはわかります。クリックすると、「儲かった」「稼いだ」というLINEのグループチャットの罠が待っている仕掛けです。