芦原妃名子さん死去で日テレ「脚本許諾」コメントに批判続々 識者が指摘する問題点

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   2023年10月~12月放送のドラマ「セクシー田中さん」(日本テレビ系)の原作者で漫画家・芦原妃名子さんの死去を受け、日本テレビが24年1月29日、30日と2日連続で公式サイトでコメントを公開した。特に1回目のコメントをめぐり、SNSを中心に批判の声が相次いでいる。

   毎日放送(MBS)の元プロデューサーで同志社女子大・影山貴彦教授(メディアエンターテインメント論)は30日のJ-CASTニュースの取材に対して、日本テレビが訃報直後にコメントを出した点を「妥当だった」と評価。ただ、コメントの一部が「責任回避だと受け取られかねない」とみている。

  • 日本テレビ公式サイトより
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  • 日本テレビタワー
    日本テレビタワー
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「本作品の制作にご尽力いただいた芦原さんには感謝しております」とは言うものの

   芦原さんは29日、栃木県内で死亡しているのが発見されたと各メディアが報じた。現場の状況から自殺とみられている。日本テレビは同日、ドラマ「セクシー田中さん」公式サイトで芦原さんの追悼コメントを公開した。次のような内容だ。

「芦原妃名子さんの訃報に接し、哀悼の意を表するとともに、謹んでお悔やみ申し上げます。2023年10月期の日曜ドラマ『セクシー田中さん』につきまして日本テレビは映像化の提案に際し、原作代理人である小学館を通じて原作者である芦原さんのご意見をいただきながら脚本制作作業の話し合いを重ね、最終的に許諾をいただけた脚本を決定原稿とし、放送しております。本作品の制作にご尽力いただいた芦原さんには感謝しております」

   同ドラマをめぐっては、芦原さんと制作陣の間にトラブルがあったとみられている。芦原さんは26日、ドラマの脚本9・10話を自ら担当した経緯をX(旧ツイッター)などで明かしていた。

   ドラマ化にあたっては「必ず漫画に忠実に」などの条件を提示していたが、漫画の内容を大幅に変更した脚本が提出されたという。ドラマ終盤でも当初の条件は守られなかったため、9・10回の脚本を担当することになったと説明していた。

   SNSでは、日本テレビのコメントの「最終的に許諾をいただけた脚本を決定原稿とし、放送しております」といった説明に対し、「自分たちは悪くないと言い訳してるように見える」「当事者として真摯に向き合うべきではないでしょうか?」などの批判の声が上がった。

   同ドラマを担当した脚本家などの制作陣に対しても批判や誹謗中傷が相次いだ。同局は30日、芦原さんに追悼の言葉を述べた上で誹謗中傷に対して次のような注意喚起を行った。

「日本テレビとして、大変重く受け止めております。ドラマ『セクシー田中さん』は、日本テレビの責任において制作および放送を行ったもので、関係者個人へのSNS等での誹謗中傷などはやめていただくよう、切にお願い申し上げます」

「責任回避とも受け取られかねない」

   まず、日本テレビが29日に公開した1回目のコメントを識者はどのように受け止めたか。影山氏は30日の取材で、「100%の誠実さは感じられなかった」。今回の件を巡って、「一部の方への誹謗中傷が起こっていることに非常に悲しく思います」とも話した。

   影山氏は、同局が直ちにコメントした点については「妥当だった」と述べた。

「時間が経っても何も反応しないケースも色んな事例でありますから、すぐにコメントしたことは、評価まではしないけれども妥当だったと思います」

   一方、このコメントには「責任回避とも受け取られかねない」部分があったとも指摘する。

   日本テレビの「原作代理人である小学館を通じて原作者である芦原さんのご意見をいただきながら脚本制作作業の話し合いを重ね、最終的に許諾をいただけた脚本を決定原稿とし、放送しております」という部分だ。影山氏が指摘する問題点はこうだ。

「『最終的に許諾をいただけた脚本を決定原稿とし、放送しております』ならば、ではどこに問題があったのかということですよね。日本テレビに責任があるかどうかはまだ分からないけれども、時間をかけて検証していく必要があると思います」

「今回の件を表に出して逃げずに前に進んでいってほしい」

   日本テレビは30日、2回目のコメントを発表。関係者への誹謗中傷に注意喚起する内容だ。影山氏は31日、このコメントの「日本テレビとして、大変重く受け止めております」という部分に着目した。

「『大変重く受け止めております』という表現は今回出ました。日テレに対して批判の矢が向けられていることは、日テレが誰よりも感じ取っていたでしょうから、こうした表現が出てきたんだと思います」

   2回目のコメント自体は納得できる部分もあるとしつつも、「SNSや社会で上がっている批判に関して、日テレは今直面している状況について真摯にコメントしてもよかった」としている。また、今後の動きについても態度を表明すべきだったとした。

「関係者に対して個人攻撃するということではなく、日本テレビは組織として今回の件を抱えて前に進んでいかなければならないというところで、今回の件を表に出して逃げずに前に進んでいってほしいと思います」
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