コストの大部分は「配送にかかわる人件費」
外食・フードデリバリーコンサルタントの堀部太一氏に、フードデリバリー業界の変化について聞いた。堀部氏自身も、ケータリング店を経営する。
「フードデリバリーアプリは定着しましたが、高収益を実現して赤字体質を脱却するのは難しい」
こう分析する。
デリバリーサービスの事業者にとって、コストの大部分は「配送にかかわる人件費」という。事業者は配達員と業務委託の形態をとっているが、事業者が得る飲食店からの手数料35%では、「とても配送に支払う人件費を賄えません。しかし、飲食店も35%の手数料を払うと原材料費などと合わせて赤字となるのです」。
さらに今後は、人手不足による人件費が高騰する可能性があると堀部氏。こうなると、「今の売価では、高収益を実現するのは難しいと言えます」と述べた。
配送コストを賄ったうえで、利益を上げるには、配達する料理の金額を今後値上げせざるを得ないだろう。そこで、想定顧客を絞り込む必要があるかもしれない。
「タイパや外出したくない理由がある人は、(料理が)高単価でも価値を感じて使い続けてくれる。全顧客対応型ではなく、利用者のニーズに合わせてサービスを提供する形になると考えます」
と堀部氏は語った。