「トラブルは『存在』」「自己弁護のように取られる」 芦原妃名子さん急死で日テレ「脚本許諾」コメント...メディア編集長が問題指摘

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   ニュース解説メディア「The HEADLINE」の石田健編集長が2024年1月30日、X(旧ツイッター)で、急死した漫画家・芦原妃名子さんの訃報に際し、芦原さんの漫画「セクシー田中さん」を原作にテレビドラマ化していた日本テレビが公開したコメントを問題視した。

  • 日本テレビ「セクシー田中さん」公式サイトより
    日本テレビ「セクシー田中さん」公式サイトより
  • 日本テレビ「セクシー田中さん」公式サイトより
    日本テレビ「セクシー田中さん」公式サイトより
  • 芦原妃名子さんの漫画「セクシー田中さん」1巻(小学館)。Amazonより
    芦原妃名子さんの漫画「セクシー田中さん」1巻(小学館)。Amazonより
  • The HEADLINEの石田健編集長のX(@ishiken_bot)2024年1月30日投稿より(1/2)
    The HEADLINEの石田健編集長のX(@ishiken_bot)2024年1月30日投稿より(1/2)
  • The HEADLINEの石田健編集長のX(@ishiken_bot)2024年1月30日投稿より(2/2)
    The HEADLINEの石田健編集長のX(@ishiken_bot)2024年1月30日投稿より(2/2)
  • 日本テレビ「セクシー田中さん」公式サイトより
  • 日本テレビ「セクシー田中さん」公式サイトより
  • 芦原妃名子さんの漫画「セクシー田中さん」1巻(小学館)。Amazonより
  • The HEADLINEの石田健編集長のX(@ishiken_bot)2024年1月30日投稿より(1/2)
  • The HEADLINEの石田健編集長のX(@ishiken_bot)2024年1月30日投稿より(2/2)

日テレ「本作品の制作にご尽力いただいた芦原さんには感謝しております」

   各メディアの報道によると、芦原さんは29日、栃木県内で死亡しているのが見つかった。50歳だった。自殺とみられるという。

   日本テレビは芦原さんの訃報に触れ、「セクシー田中さん」公式サイトで、脚本に関する内容も含むコメントを公開した。

「芦原妃名子さんの訃報に接し、哀悼の意を表するとともに、謹んでお悔やみ申し上げます。2023年10月期の日曜ドラマ『セクシー田中さん』につきまして 日本テレビは映像化の提案に際し、原作代理人である小学館を通じて原作者である芦原さんのご意見をいただきながら 脚本制作作業の話し合いを重ね、最終的に許諾をいただけた脚本を決定原稿とし、放送しております。本作品の制作にご尽力いただいた芦原さんには感謝しております」

   同ドラマをめぐっては、芦原さんとドラマ制作陣の間にトラブルがあったとみられている。

   同ドラマの1~8話を担当した脚本家はインスタグラムで23年12月下旬、脚本をめぐって「最後は脚本も書きたいという原作者たっての要望があり、過去に経験したことのない事態で困惑しましたが、残念ながら急きょ協力という形で携わることとなりました」「この苦い経験を次へ生かし、これからもがんばっていかねばと自分に言い聞かせています。どうか、今後同じことが二度と繰り返されませんように」などと投稿していた。

芦原さんが説明した「9話、10話の脚本を書かざるを得ないと判断するに至った経緯や事情」

   芦原さんは24年1月26日にブログとXで、自身が「9話、10話の脚本を書かざるを得ないと判断するに至った経緯や事情」を説明している。

   未完作品のドラマ化にあたって「必ず漫画に忠実に」、漫画では完結していない終盤部分については「原作者があらすじからセリフまで用意する」といった条件を提示したものの反故にされ、「当初お伝えした『ドラマ化の条件』はどうなってしまったのだろう?という疑問を常に抱えた状態での加筆修正の繰り返しとなって、その頃には私も相当疲弊していました」という。時間的な限界から、9、10話は条件としていた「原作者が用意したものをそのまま脚本化していただける方」への交代を求めた。

   結果として芦原さんが最終2話を執筆したが、「素人の私が見よう見まねで書かせて頂いたので、私の力不足が露呈する形となり反省しきりです」などとして謝罪。ドラマのキャストや制作スタッフ、読者や視聴者らに「深く感謝いたします」としていた。

   芦原さんはその後投稿を削除し、Xで28日に「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい」と投稿している。

石田氏、日テレに「正面から応答しておらず、むしろ通り一遍の対応にも」

   「The HEADLINE」編集長の石田氏は30日、X投稿で「日本テレビのコメントは、控えめに言って良くなかったと思います」としてその理由を3つ挙げた。

   1つ目は「お悔やみを述べつつ、同時に芦原さんから『許諾』を貰ったと書いた点」だという。「『許諾』は事実でしょうが、それを踏まえてのトラブルは『存在』したわけで、自己弁護のように取られる文を併記する必要はあったのか?という問題です」と指摘した。

   2つ目は「本件の背景など調査が開始されないまま、そうした表現が先行した点」。29日の段階で「トラブルを透明化するような書き方は、最後に書かれた故人への『感謝』を軽くしている側面が強いと思います」とした。

   3つ目は「そうしたコメントが出てしまうこと自体に、テレビ局や業界全体が抱えている構造的な問題が示唆されること」。「具体的には、コンテンツや取引のあり方、自身の権力性などに関係者が自覚的であるか?などの論点が、昨年から繰り返し指摘されており、本件もそうした文脈の中で理解できると思います。にもかかわらず本コメントは、そうした問題に正面から応答しておらず、むしろ通り一遍の対応にも見えてしまい、今後の姿勢が問われていくと思います」と指摘した。

「これは構造的な問題だと何度も言う必要があります」

   石田氏は「自分も出演者の1人として、業界や企業において、1人ひとりの関係者が一生懸命、仕事をしていることをよく理解しています」としつつ、こうした問題提起をした理由を「本件を含めた様々な問題を、誰か1人の個人に帰するのではなく、多くの関係者がおおよそ悪意がないまま関与してしまっている『構造』として捉えるべきだと言いたいからです」と説明。「SNSが先鋭化し、個人への誹謗中傷や犯人探しが跋扈する中、この指摘も TV や"マスメディア"への分かりやすい攻撃に見えるかもしれません。しかし、そうではなく、これは構造的な問題だと何度も言う必要があります」と強調した。

   「各方面で影響力があるマスメディア・事務所・広告代理店に限らず、多くの力ある企業は、知らず知らずのうちに権力性を帯びていき、誰かへのしわ寄せや忖度、不健全な取引を生んでしまいます」として、自身の役割について「だからこそ、関係者はその『構造』に自覚的になる必要があり、多少ウザいと思われても、それをネチネチと指摘する人がいなければ、業界や社会が長年抱えてきた慣習を変えることは難しいと考えています」としている。

   その上で「本件については、すでに言われているように個人攻撃や誹謗中傷を避けつつ、しかし広く構造的な問題として、メディアやクリエイター、関係企業の取引や契約、作品との関与など諸々のあり方が問い直されていく必要があると思います」と訴えている。

【悩みを抱える人へ、厚生労働省が紹介している主な相談窓口】
・いのちの電話(一般社団法人 日本いのちの電話連盟) 0570-783-556(ナビダイヤル)/0120-783-556 (フリーダイヤル)
・こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556
・#いのちSOS(特定非営利活動法人 自殺対策支援センターライフリンク) 0120-061-338
・よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター) 0120-279-338/(岩手県・宮城県・福島県から)0120-279-226
・チャイルドライン(特定非営利活動法人(NPO法人) チャイルドライン支援センター) 0120-99-7777 (フリーダイヤル)
・子供(こども)のSOSの相談窓口(そうだんまどぐち)(文部科学省) 0120-0-78310(フリーダイヤル)

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