日本テレビでテレビドラマ化された「セクシー田中さん」原作者の漫画家・芦原妃名子さんの急死を受け、「はじめの一歩」で知られる漫画家の森川ジョージさんが2024年1月29~30日、X(旧ツイッター)で、漫画作品のドラマ化における原作者の立場について「日本では原作者が【絶対】です」などとつづった。
日本テレビ「最終的に許諾をいただけた脚本を決定原稿とし、放送しております」
森川氏は「とんでもなく残念なニュースを目にした。同業者の嘆きの経緯は眺めていたがこんなことになるとは。気持ちがわかるだけに胸が痛い。業界では幾度も繰り返されてきたことではあるが今回の件はもう取り返しがつかない。とにかく残念だ」と悲痛な思いをつづっていた。
芦原さんはドラマ化された「セクシー田中さん」の9、10話の脚本を自らが書くことになった経緯を26日、ブログにつづっていた。ドラマ化にあたり「必ず漫画に忠実に」、漫画では完結していない終盤部分については「原作者があらすじからセリフまで用意する」との条件を提示していたが、「毎回、漫画を大きく改編したプロットや脚本」が提出され、終盤に関しても「当初の条件は守られず」、9話と10話に関しては芦原さんが脚本を書くことになったなどの顛末を、長文で記述していた。
その後、芦原さんは投稿を削除。28日にXで「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい」とだけ投稿し、29日には芦原さんの訃報が報じられた。
ドラマを制作・放送した日本テレビは公式サイトで「日本テレビは映像化の提案に際し、原作代理人である小学館を通じて原作者である芦原さんのご意見をいただきながら脚本制作作業の話し合いを重ね、最終的に許諾をいただけた脚本を決定原稿とし、放送しております。本作品の制作にご尽力いただいた芦原さんには感謝しております」などとコメントを発表している。
1話から8話を担当した脚本家は23年12月、インスタグラムで「最後は脚本も書きたいという原作者たっての要望があり、過去に経験したことのない事態で困惑しましたが、残念ながら急きょ協力という形で携わることになりました」「今回の出来事はドラマ制作の在り方、脚本家の存在意義について深く考えさせられるものでした。この苦い経験を次へ生かし、これからもがんばっていかねばと自分に言い聞かせています。どうか、今後同じことが二度と繰り返されませんように」などと投稿していた。
森川ジョージ「作品とそれにまつわる環境を守る戦いができるのは原作者だけ」
森川さんは漫画作品のドラマ化における原作者の立場について、「原作を渡した以上は、そこから作る物語は、脚本家の作品」などとする漫画家・塚脇永久さんの投稿に返信する形で、「それは違う。全てお任せするという事前の約束があれば別だが作品はどこまでいっても原作者のものだよ。作品とそれにまつわる環境を守る戦いができるのは原作者だけなのだから。意にそぐわない事になった場合はおおいに口出ししていいと思う。原作者と作品を愛する人達への尊重があればトラブルは回避できる」などと投稿した。
30日には一般ユーザーの「なにか一定のガイドラインが必要ではないか」とするポストを引用しながら、「すでにガイドラインはあります。日本では原作者が【絶対】です。何故なら作品と作品を愛する人達やその環境を守れる戦いができるのは原作者だけだからです。二次使用の際『尊重』を忘れなければ大抵の場合トラブルは避けられます。原作者が何か物申すと『権力者が強権を発動した』と煙たがられることが多いです。それはほとんどが作品とファンを守るためなのに多勢に無勢の戦いになります。権利を行使した直後に孤独になり、挙げ句『自分はワガママではないか』と自分を責めたりします。原作者は堂々と自身を持って発言して下さい。周囲の人達は尊重して下さい。一人で戦わないで下さい」などと訴えた。
「原作者と二次使用者、双方を縛る約束事は可能です。口頭でも書面でもいいと思います。その際も尊重を忘れないでいただきたい」と付け加え、一般ユーザーからの「ガイドラインは無力という意見が散見されますが、著作権法に基づいたガイドラインだと思います」などとする書き込みには、「おっしゃる通りです。著作人格権、同一性保持権という著作権法があります」とも論じている。
厚生労働省が紹介している主な相談窓口
【悩みを抱える人へ、厚生労働省が紹介している主な相談窓口】
・いのちの電話(一般社団法人 日本いのちの電話連盟) 0570-783-556(ナビダイヤル)/0120-783-556 (フリーダイヤル)
・こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556
・#いのちSOS(特定非営利活動法人 自殺対策支援センターライフリンク) 0120-061-338
・よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター) 0120-279-338/(岩手県・宮城県・福島県から)0120-279-226
・チャイルドライン(特定非営利活動法人(NPO法人) チャイルドライン支援センター) 0120-99-7777 (フリーダイヤル)
・子供(こども)のSOSの相談窓口(そうだんまどぐち)(文部科学省) 0120-0-78310(フリーダイヤル)
失礼ながら引用させていただきます。
— 森川ジョージ (@WANPOWANWAN) January 29, 2024
このような意見が散見されますがすでにガイドラインはあります。
日本では原作者が【絶対】です。
何故なら作品と作品を愛する人達やその環境を守れる戦いができるのは原作者だけだからです。… https://t.co/ZqMqfcJuHo