ダウンシーンなきプロ初TKO勝利、それでも那須川天心は「無理に倒しにいくべきではない」 識者分析「自分のスタイル極めた方が良い」

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   プロボクシングの日本スーパーバンタム級7位・那須川天心(帝拳、25)が2024年1月23日、エディオンアリーナ大阪でWBA・WBO世界バンタム級14位ルイス・ロブレス(メキシコ、25)と8回戦を行い、3回終了TKO勝利を飾った。

   試合はロブレスが右足首を負傷して途中棄権。那須川は不完全燃焼ながらプロボクシング転向後、3戦目にして初のTKO(KO)勝利となった。世界ランカーを相手にしたプロ3戦目にどのような成長が見られたのか。J-CASTニュースは、多数の世界王者を育ててきたTMKジムの金平桂一郎会長(58)に分析してもらった。

  • 那須川天心選手(写真:山口フィニート裕朗/アフロ)
    那須川天心選手(写真:山口フィニート裕朗/アフロ)
  • 那須川天心選手(写真:山口フィニート裕朗/アフロ)

「相手をきっちり痛めつけて終わらせたかったというのはあるでしょうけども...」

   プロデビューから2戦連続で判定勝利の那須川は序盤から積極的にパンチを繰り出し攻勢に出た。顔面とボディーへのパンチをうまく使い分け有効打を重ねていった。小気味よくパンチを打ち込む那須川にプロ初のKO勝利の期待が高まったが、ロブレスは4回開始ゴングに反応せず途中棄権。ダウンシーンがないまま那須川にとって思わぬ形でのTKO勝利となった。

   金平会長はわずか3ラウンドの攻防にも「相手をきっちり痛めつけて終わらせたかったというのはあるでしょうけども試合内容は非常に良かったと思います」と高い評価を与え、「非常に良いボクシングをする。距離感を掴むのは素晴らしい。将来性が高い選手なので、このボクシングスタイルは絶対に変えてはいけない」との見解を示した。

   キックボクシングで42戦全勝を誇り鳴り物入りでプロボクシングに転向した那須川。的確にパンチを打ち込む高度なボクシング技術を持つも、2試合連続でKOを逃した。インターネットでは一部のファンから「パンチ力がない」などの声が上がり、那須川自身も今回はかなりKOを意識していたようだ。

「今回倒せなかったのは全く気にする必要はない」

   金平会長は「本人にもセコンドにも何で相手が倒れないのだろうという感覚があると思います」とした上で、「ノックアウトは何かのきっかけで起きる。今回倒せなかったのは全く気にする必要はない。今のボクシングの精度をどれだけ高めていけるか。たとえ今後KOすることができなくても気にする必要は全くない」とした。

   そして「とにかく自分のスタイルを極めていったほうがいいと思います。KOを狙いにいくと自分のスタイルが崩れて余計なパンチをもらってしまう。そういう勝負は今の段階でやる必要はない。今のボクシングスタイルに何が足りないというわけではないので変える必要は全くないし、無理に倒しにいくべきではない。せっかく精密なボクシングをしているので距離感もばっちり合って当て勘もいい。そういうボクシングを極めていった方が良い」と述べた。

   那須川はバンタム級の世界ランカーを破ったことで、今後バンタム級で世界王者への挑戦権がある世界ランク15位以内に入ることが有力となった。

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