TSUTAYAの閉店ラッシュが昨年に続き、2024年に入っても相次いでいる。1月23日には1店が閉店し、31日には全国で6店が閉店予定。2月に入っても8店が閉店を予定している。サブスクに押されてレンタル業界はどこも厳しい状況なのだろうか。
「現在TSUTAYAは時代の変遷とともに店舗の在り方を見直しています」
J-CASTニュースBiz編集部がTSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブに問い合わせたところ、広報担当者は1月23日には鹿児島県霧島市のフレスポ国分店が閉店。31日には高知県四万十市の四万十店、広島県広島市の可部店、大阪府豊中市の上新田店、北海道千歳市のサーモンパーク店、北海道小樽市の小樽店が閉店する、と説明した。
また、2月に入ってからは、岐阜県岐阜市の長森店(2月2日)、宮城県仙台市の仙台八幡店(同)、群馬県前橋市の片貝店(2月11日)、山梨県甲府市の甲府バイパス店(2月12日)、滋賀県大津市のアル・プラザ瀬田店(2月16日)、兵庫県高砂市の高砂米田店(2月23日)、長野県上田市の上田バイパス店(2月29日)が閉店。このほか、大阪府大阪市の天六店が2月中旬に閉店すると回答した。
TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブの広報担当者は、
「現在TSUTAYAは時代の変遷とともに店舗の在り方を見直しており、レンタルサービスを中心とした店舗はその役目を終了していっております。今後は、『地域に交流を生む体験型書店』をテーマに、地域に密着した書店中心の出店を進めていくと共に、その他の体験型コンテンツ(トレーディングカード対戦席や、TSUTAYA Conditioningの併設など)を複合した店舗の展開を進めていく方針です」
と説明した。
ゲオはリユースビジネスの展開で存在感
一方で、レンタル業界のもうひとつの雄、ゲオの状況はどうか。
ゲオホールディングスは昨年11月、2024年3月期の連結業績予想について、売上高を4000億円から4280億円(前期比13.4%増)へ、営業利益を130億円から170億円(同60.1%増)へ、純利益を70億円から90億円(同58.4%増)へ上方修正を発表するなど、好調だ。
通期連結業績予想の修正の理由として、同社は「主にリユース衣料・服飾雑貨を取り扱う2nd STREETではリユース市場の認知度拡大や循環型社会への関心の高まりによるユーザーのエシカル消費が追い風となり、既存店売上も安定して伸長し、売上が想定より上回って推移いたしました」と記しているように、現在、同社はレンタル以上に、リユース品の販売で存在感を発揮している。
対照的な様相を呈しているかのような2社。今後について、流通アナリストの中井彰人氏は、TSUTAYA凋落、ゲオ躍進という傾向は2024年も続くと予測。その理由として、ゲオについては「リユースビジネスの展開が非常に順調である」と指摘する。
一方、TSUTAYAについては「業績の再構築には、かなり時間がかかる」と予想。昨今の苦境の主な原因として同社のポイント制度である「Tカード」が、他社の決済メディアに埋没していることが影響していること。もう1つの理由としてダウンロードやサブスクではない「店舗での商品販売」の衰退も大きな打撃になっている、と説明した。
それならば、販売額の縮小に合わせて店舗を閉鎖する打ち手はどうか。しかし、中井氏はそれも難しい、と語る。その理由としてTSUTAYAの店舗はフランチャイズ経営が多く、本部の利益が少なくなったからといって次々と畳めばよいというものではない、と指摘。それだけに、「急展開は難しい」というわけだ。
もっとも、現在進行中のTSUTAYA渋谷店の改装(オープンは2024年春予定)は、店舗での商品販売の新しい形になる可能性はあるだろうとしつつも、「その成否は予断を許さない」とも指摘した。
(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)