女性の悩みが男性の悩みになった時、初めて前進する
――フリーコメントではポジティブな意見がほとんどなく、ネガティブな意見ばかり多いのはなぜでしょうか。
川上敬太郎さん 2023年を振り返って、女性が働きやすくなった実感が「ある」と答えた人が3割近くいますが、だからといって、満足するほど働きやすくなったと感じているとは限りません。
そもそも女性にとって極めて働きにくい環境であったことを考えると、働きにくさが相対的に緩和しただけであって、多くの女性が満足できるほど働きやすい環境には、まだまだ程遠いということなのでしょう。
――さきほど、「女性の活躍を阻害する根本的な要因に、しっかりとメスを入れないと」と述べられましたが、それは何ですか。さらに前に進むためには何が一番大切だと思いますか。
川上敬太郎さん さらに前進するために必要なことはたくさんあります。ここでは、敢えて1つ挙げるとすると、女性にかたよっている家周りの仕事の負担を減らすことです。家事や育児、介護といった仕事の負担が減らないままでは、女性は働けば働くほど、どんどん大変な状況に追い込まれてしまうことになります。
ずっと仕事と家庭の両立に悩んできたのは、ほとんどが女性でした。それが男性の悩みにもなった時に初めて、女性の負担が緩和される一方で、仕事と家庭の両立が働く人すべての悩みになります。
これまでは100%仕事に時間を捧げられる状態が普通だと考えられてきたため、仕事と家庭を両立させる人のほうが特別視されるきらいがありました。しかしそれは逆で、家庭との両立を図りながら働くことのほうが普通だという認識に変える必要があります。
そのうえで仕事にしっかりとコミットし、成果を最大化させていくための職場体制や業務プロセス、人事制度などを再構築する「職場のマネジメント改革」こそが、急務だと思います。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)