「企業があまり税を負担していない」は正しい認識か
是枝氏は、この点を踏まえて「個人が支払った所得税」を調整後所得税、「法人税+法人が支払った所得税」を調整後法人税としたグラフを作り直している。そして、個人で支払った「所得税」の伸びと、法人が「法人税+法人が支払った所得税」の伸びは、ほぼ同じペースで、同程度の金額で推移していると指摘する。
そして、経常利益の伸びを考慮すれば「もう少し法人税率を引き上げる余地はあるかもしれない」としつつ、「『法人が支払った所得税』を見ずに法人税と所得税の推移だけを見て、企業があまり税を負担していないという誤った認識の下で議論をすれば、取るべき政策を見誤るだろう」と結論づけている。
企業の法人税率は、回り回って雇用する従業員の給与にも関わるものだ。今後の税制議論がより精緻なデータ分析に基づくものになることに期待したい。