「レシートロールの交換忘れを防ぐ、お店とお客のWinWinのソリューションだね」──。
セルフレジならではの悩みを解消するため、あるガソリンスタンドが導入した取り組みがX(旧ツイッター)で称賛の声を集めている。店は取材に、当初は期待していなかったとしつつ結果は「良かったのかなと思います」と詳しい経緯を明かした。
「両端に赤い線がついていたら大当たり」
話題の取り組みを実施しているのは、山梨県にあるセルフガソリンスタンド「ENEOS Dr.Driveセルフ向町店」だ。店の取り組みについて、Xユーザー・クロロ(@krs_ekimemo)さんが2024年1月上旬に紹介したところ、3万件以上の「いいね」を集めた。
投稿された写真を見ると、レジ機に「レシートチャンス」との張り紙があり、「両端に赤い線がついていたら大当たり」と従業員に知らせるよう案内している。当日のレシートのみ有効で、「粗品プレゼント」するという。
一般的に、レジロール紙の終わりには赤い線が印刷されており、交換時期の目安になるとされている。そのタイミングで、客から店に声がかかる仕組みになる。
投稿は拡散され、「レシートロールの交換忘れを防ぐ、お店とお客のWinWinのソリューションだね」「少しでもラッキーと思えるシステムは助かる」「お客さんも粗品もらえて嬉しくて、お店はチェックしなくても交換時期を知らせてもらえる仕組み、頭良い~」「天才やんか...」などと称賛の声が上がっている。
向町店の店長は10日、アルバイトの発案によるものだとJ-CASTニュースの取材に答えた。発案者も、はじまりは「こういうのあった方がいいのかなと正直簡単なきっかけから」と明かす。Xの反響の大きさは驚き、「まさかでした。賛否両論あると思いますけど」と受け止めている。
お礼の粗品は、取材回答時点ではボックスティッシュを配布しており、「本当に粗品ですけど日ごろ使うもので、『ちょうど良かった~』と言ってくださる方が多い」と述べる。
取り組みを導入した時期は、店がセルフスタンドに変わった22年夏ごろ。「(機械のレシート切れで)全く無くなった場合、お客様に迷惑がかかるんです。レシートが出てこないとか次の方の給油が出来ないとか、システム上のものがあって」と発案者は考えるに至った。
「導入してからはお話しに来てくれるお客様も増えました」
客との接点が少なくなると懸念されるセルフスタンドで、コミュニケーションのきっかけに、という狙いも明かす。他店を客の立場で利用した際の「(表に)従業員がいないと困ったことがあっても声をかけづらい」との実体験も背景にある。
そこで「店にはこういうスタッフがいるよ」と認知に繋げるため、最初は「お知らせ」を一緒に添える形だった。例えば店長は、車の美観を保つキーパーコーティングの施工を競う「キーパー技術コンテスト」(22年、KeePer技研主催)で山梨県1位に輝いている。ほかに客とは世間話も交わすという。
結果として、レシート切れで客を待たせる問題を解消できただけでなく、「導入してからはお話しに来てくれるお客様も増えました」。「レシートチャンスを『当たったよ~』とニコニコしながらやってきてくださる方も増えたので、良かったのかなと思います」「皆さま優しいです」とも伝える。
「最初はこんな、来てくれないよねと期待はなかったんです。けれど実際に持ってきてくださる方が増えてきて。お客様にしていただいていることなので、店長は『(粗品の種類を)何か違うの増やす?』なんて...」
発案者は、「もともとガソリンスタンドは『サービスステーション』ってものだったので、元あるべき姿を今も繋げていきたい」とホスピタリティ精神をのぞかせる。一方の店長は、取り組みについて「本当に面白いアイデアだなと思ってすぐ取り入れました」とし、今後も継続の意向を示した。