AI悪用したフェイク動画の問題も
AI(人工知能)を悪用したフェイク動画の問題も顕在化している。23年10月には、ジョコ・ウィドド大統領が中国語でスピーチする動画が拡散された。反中感情くすぶるインドネシアで、大統領が「中国寄り」だとする印象を植え付ける狙いがあるとみられる。ファクトチェック団体が調べたところ、15年に英語で行ったスピーチの動画に、中国語の音声をかぶせた偽動画であることが明らかになった。
登壇者からは、(1)特定のアカウントが誤情報を集中的に流すことがあるため、プラットフォームへの通報を強める(2)ファクトチェック団体どうしの連携を強化する、といった意見が相次いだ。多くの登壇者が口にしたのが「プレバンキング」(pre-bunking)という言葉だ。拡散している情報が誤りであることを検証する「デバンキング」(de-bunking)と対になるとも言える考え方で、過去に拡散された誤情報の傾向から、今後、どんな情報が拡散されそうかを分析して広く知らせる、という試みだ。
例えば前出のジョコ大統領の動画では、口元の動きと音声がシンクロしているかどうかに着目すれば、真偽の判断は必ずしも難しくない。こういったリテラシーの普及のあり方についても、議論が交わされた。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)