楽天とdocomoはわかりやすい「ネーミング」
J‐CASTニュースBiz編集部は、MMD研究所の調査担当者に話を聞いた。
――調査結果では、キャリア別のポイント重視度は楽天がダントツの1位になり、2位docomo、3位SoftBank、4位auという順番になりました。楽天の圧倒的1位は、やはりポイント還元率が高いということでしょうか。こういう順番になったのは何が影響しているのでしょうか。
調査担当者 2023年7月に「経済圏のサービス利用に関する調査」を行なって、「最も活用している共通ポイント」を聞いていますが、やはり「楽天ポイント」が2位を2倍以上引き離したダントツ1位になっています。2位以降の順位も今回の調査と同じ結果が出ています。
今回の調査は、ポイントの重視度と貯まりやすさが中心ですが、キャリアのポイント利用について聞いているため、ポイントの活用度合いが他社より断然高い「楽天モバイル」が強いのは納得できるかと思います。
2位以降の順位については、「ネーミング」が関係しているのではと考えます。楽天モバイルのポイントが貯まるサービスは「楽天○○」、docomoのサービスは「d○○」と、通信キャリアの名前が付き、ポイントが貯まることをわかりやすく連想させています。
ところが、SoftBankの「PayPayポイント」、auの「Pontaポイント」は実際にサービスを使う時に初めて経済圏内のサービスであることを意識することになります。こうしたネーミングの差が、興味関心や重視度の違いにつながり、この順位になったのではないでしょうか。
――なるほど。非常に面白い見方ですね。楽天モバイルの場合は、そのものズバリのネーミングという点も強いようですね。過去の調査で、順番の変化はありますか。
調査担当者 2023年7月の「経済圏の調査」での楽天経済圏の強さがうかがえますが、今回の調査でも楽天モバイルユーザーは通信サービス選びの軸にポイントの貯まりやすさなどを考えていることが分かりました。
一方、楽天以外のキャリアでも、ユーザーが共通ポイントを中心に「経済圏」を意識し始めている傾向が出ています。通信事業が先行しているdocomoやSoftBank、auが、収益拡大を見込んで決済などの非通信事業の領域を拡大するためにポイントプログラムに注力していることもあげられます。
2023年7月の「経済圏の調査」でも、経済圏を意識する度合いで楽天が減少しているのに対し、docomoとSoftBankがわずかながら増加していることが分かります。
――追われる立場の楽天ですが、今回の調査では、特別に楽天モバイルの「SPU」(スーパーポイントアッププログラム)の改定について、楽天ユーザーに聞いていますね。「満足」という意見が6割、「不満」が2割という結果をどう評価しますか。楽天の狙いは当たったのでしょうか。
調査担当者 SPU改定で、モバイル契約者はダイヤモンド会員と非ダイヤモンド会員の区別がなくなり、一律で4倍のポイント付与率となり、楽天モバイルユーザーへの恩恵が分かりやすい形となります。
しかし、毎月の付与上限が、これまでダイヤモンド会員が7000ポイント、非ダイヤモンド会員が6000ポイントだったところが一律2000ポイントになります。ほかの楽天経済圏サービスを複数利用していて付与率があがるように働きかけていたユーザーにとって、上限が設けられたことが「不満」と捉えられているとも考えられるかと思います。
ただ、「満足」が6割という結果は、楽天モバイルユーザーからも評価を得ていることが分かり、新規ユーザーの獲得に向けて結果的にプラスの方向に進んでいくのではと考えます。