「人手不足」が生む、倒産の連鎖
J‐CASTニュースBiz編集部は調査を担当した帝国データバンク情報統括部の箕輪陽介さんに話を聞いた。
――能登半島地震の被災地でも、救出作業や道路の復旧、壊れた家屋の再建に建設業者の存在が欠かせません。全国各地で建設業者が減り、また、天災が起こったら大変な事態になりますね。
箕輪陽介さん それは東日本大震災、熊本地震の際にも懸念されたことです。地場に建設業者がいなくなることは、インフラ整備、地元経済への影響だけでなく、将来の災害のリスクまで考えると、非常に深刻な事態です。
日本列島に地震、台風などの災害が起こらない地域はありませんから、一定数の建設業者が地元にいることは必要不可欠です。
――リーマン・ショック時を上回るほどの勢いで建設業者の倒産が急増した一番の理由は何ですか。
箕輪さん まず、人手不足があげられます。少子化で20代~30代の若い人が入ってこないだけでなく、従業員の高齢化が大きいです。重機などを動かせるベテラン作業員がどんどん少なくなっています。
会社としては、人手が不足すると単に仕事が受注できないだけにとどまりません。受注できても職人が少ないため工期が伸びます。すると、工事完成後の施主からの支払いが後ズレするため、その間、資金繰りに困ることになります。
工事を始める前には資材購入や人員確保のために、支払いが生じます。つなぎ融資を調達しようとしても、コロナ禍の特殊事情から普段以上に借金をして、借り入れ余力がない中小企業が多いのです。せっかく受注を確保しているのに、支払い先行で手元現金がショートする「黒字倒産」も見られました。