2024年元日に能登半島地震、2日に羽田空港事故と2日続きで、激動の年を暗示するような事象が発生した。亡くなられた方々のご冥福を、心よりお祈りしたい。
政府は、能登半島地震からの復旧・復興に対応するため、新年度予算案に盛り込まれた予備費について、現状の5000億円から1兆円に倍増させる方向で検討に入り、16日にも閣議決定すると報道された。これでいいのか。
過去の例では、震災発生後1か月少しで災害対策費などの名目で補正予算が作られた
気象庁の震度データベースで1919年以降、震度7を記録したものを調べると、1923年9月1日関東大震災(当時首相は不在)、1995年1月17日阪神淡路大震災(当時村山富市首相)、2004年10月23日新潟県中越地震(当時小泉純一郎首相)、2011年3月11日東日本大震災(当時菅直人首相)、2016年4月14、16日熊本地震(当時安倍晋三首相)、2018年9月6日北海道胆振東部地震(当時安倍晋三首相)が起こっている。
財政制度が同じ戦後でみると、1995年阪神淡路大震災のとき1兆223億円の補正予算が2月24日閣議決定、28日国会で成立した。
2004年新潟県中越地震では、1兆3618億円の災害対策費などの補正予算が12月20日閣議決定、2005年2月1日国会成立した。
2011年の東日本大震災では、4兆153億円の補正予算が4月22日閣議決定、5月2日国会成立した。
2016年熊本地震では、7780億円の補正予算が5月13日閣議決定、17日国会成立した。
2018年北海道胆振東部地震では、他の豪雨災害などとともに9356億円(地震への対応は1188億円)の補正予算が10月15日閣議決定、11月7日国会成立した。
こうした過去の前例をみると、震災発生後1か月少しで災害対策費などの名目で補正予算が作られた。
既に発生した災害を対象とする予備費はおかしい
岸田文雄政権では、2024年度予算の予備費で対応するらしいが、そもそも予備費とは「予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。」(憲法第 87 条第1項)なので、既に発生した災害を対象とするのはおかしい。
もし、3月末までの年度内における地震、豪雪被害のように「予見し難い」ことに備えるなら、来年度ではなく今年度補正予算で対応すべきだろう。
来年度予算の成立は3月末だ。それまで新たな自然災害が起きない保証は誰もできない。
今年度補正予算を2月初めに国会に提出し、成立されて国民を安心させるべきではないか。それが政治の役割だ。