大河ドラマ「光る君へ」で描かれた下級貴族の就活 藤原為時がありついた仕事は「非正規雇用」だった!?

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任官されていない貴族は「予備役」

   では「任官されていない貴族」とは、そもそも、どんな身分なのだろうか。

「官職を持たない貴族たちは、『散位』と呼ばれます。待機状態の身ということになります。軍隊の予備役に近い感じです」

   ドラマの中で為時は、兼家から禄(給料)をもらう形で花山天皇の東宮時代・師貞親王の漢文の講師を担当することになったが、これについては「まるきりのでたらめです」と断言。ドラマで準主役たる藤原道長(柄本佑さん=37)と紫式部を「少しでも近付けるためのフィクションですね」と手厳しい。

「花山天皇は、兼家にとって、邪魔で邪魔で仕方のない存在でしたから、兼家が花山天皇のために何かしら尽力することなどあり得ません。また、為時は、兼家などとは無関係に、花山天皇の側近の一人でした」

   一方、任官されていない貴族が兼家のような有力貴族に雇われるというのは、よくあることだったのだろうか。繁田氏いわく「史実です」とのこと。

「下級貴族たちの大半は、朝廷の官職に就くのではなく、上級貴族や中級貴族に『家司』として仕えていました。『家司』というのは、現代的に言えば、執事です」

   最後に、下級貴族含め、平安時代の貴族はどのような方法で給料を受け取っていたのだろうか。

「朝廷が官人たち(貴族たち)に払う給料は、本来は、絹・布(麻布)・綿(コットンではなく真綿)・鍬(くわ=鉄製)などの物品というかたちでした。銭(銭貨)ではありません」

と繁田氏。ただ、これが前提だったとしつつも、紫式部が生きていた平安時代中期になると「コメに換算して、コメで支給されていました」とも。「もらう側の貴族たちからしても、鍬などもらっても仕方ないですから、コメの方がよかったでしょうね」と、その心中を察した。

(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)

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