2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」。主人公は「源氏物語」作者の紫式部で、主演は俳優の吉高由里子さん(35)が務める。
第1回(1月7日放送)では、幼少期の紫式部とその家族が登場。紫式部の父・藤原為時(岸谷五朗さん=59)がなかなか任官されず、仕事を得るのに苦労する様子が描かれた。
「せっかく官職を得ても、4年後には失職」
第1回では貞元3(978)年の正月に行われた「除目」(作中では「天皇、大臣と参議以上の公卿によって行われる人事の会議」と説明)において、為時が官職を得られず、番組終盤でやっと皇太子の漢文の講師として正式な官職ではなく、右大臣の藤原兼家(段田康則さん=66)に雇われるシーンが流れた。それは現代の「非正規雇用」のような不安定な立場だったのか。
J-CASTニュースBiz編集部の取材に対し、平安時代の貴族文化に詳しい神奈川大学日本常民文化研究所の繁田信一氏は、除目は年に2回行われていたと明かす。併せて、作中では為時の身分を表わすべく「下級貴族」という言葉が出てきたが、「メディアではかなり雑に扱われているように思われます」と指摘。細分化して理解すべきと、以下の分類を示した。
「上級貴族」:一位から三位の位階を持つ人々
「中級貴族」:四位もしくは五位の位階を持つ人々
「下級貴族」:六位以下の位階を持つ人々
また、官職の任期について繁田氏は、「ほとんどの官職は、任期が4年と定められています。したがって、中級貴族・下級貴族のほとんどが、せっかく官職を得ても、4年後には失職することを心配しなくてはいけませんでした」と、その身分の不安定ぶりに言及。
「除目が毎年行われたのは、何かしらの官職が任期満了になって後任を決めなければならなかったからです。そのため、官職に就けていない人々からすれば、毎年、官職を得るチャンスがあったということです」
とも説明した。