今年の家計「苦しくなりそう」6割超! 収入増やす方法1位が「ポイ活」とは...「ゆとり派」と広がる二極化

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   今年(2024年)の家計は楽になるだろうか、それとも――。

   働く主婦・主夫層のホンネ調査機関「しゅふJOB総研」(東京都新宿区)が2023年12月20日、「【2024年の家計と収入の増やし方】就労志向の主婦・主夫層に調査『家計苦しくなる』2年連続増の62.9%」という調査結果を発表した。

   それによると、「苦しくなる」と予測する人が6割以上に達し、「ゆとりができそう」という人は1割以下だった。救いはないのか。調査担当者に聞くと――。

  • 家計がピンチ(写真はイメージ)
    家計がピンチ(写真はイメージ)
  • (図表1)2024年の家計はどうなりそうか?(しゅふJOB総研の調査)
    (図表1)2024年の家計はどうなりそうか?(しゅふJOB総研の調査)
  • (図表2)本業以外で収入を増やす方法のトップ5位(しゅふJOB総研の調査)
    (図表2)本業以外で収入を増やす方法のトップ5位(しゅふJOB総研の調査)
  • 家計がピンチ(写真はイメージ)
  • (図表1)2024年の家計はどうなりそうか?(しゅふJOB総研の調査)
  • (図表2)本業以外で収入を増やす方法のトップ5位(しゅふJOB総研の調査)

大学進学の息子の奨学金に頼らないと...

   「しゅふJOB総研」の調査(2023年11月15日~22日)は、仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層550人が対象。まず、今年(2024年)の家計はどうなりそうかを聞くと、「ゆとりができそう」と答えたのは1割未満(8.5%)で、「苦しくなりそう」が6割以上(62.9%)だった【図表1】。

   直近の3年間で比較すると、興味深い結果が出た。「苦しくなりそう」が、2022年予測の50.2%から2024年の62.9%へと、12ポイント以上増えた。その一方で、「ゆとりができそう」が、2024年には8.5%と、2023年の7.0%より1.5ポイント増えた。つまり、「苦しくなる人」と「ゆとりができる人」の二極化が進んでいるようだ。

   さて、では収入増の方法に何があるのか。【図表2】は、本業以外で家計収入を増やす方法を聞いたトップ5位だ(複数回答可)。1位は「(Tポイントなど)ポイントをためる」、2位は「副業(業務委託・請負契約)」で、いわばフリーランスのアルバイト。3位に「(メルカリ・ブックオフなど)中古品など所有物を売る」が入った。しっかり雇用契約を結ぶ「副業」は4位だった。

   フリーコメントをみると、「ゆとりができそう」と回答した人からこんな意見が相次いだ。

「子どもの独立、自分のスキルアップ、月収を上げるための転職活動を進めている」(40代:派遣社員)
「転職に時間がかかったため、数か月間無収入で専業主婦のような生活だったが、新たにパートが決まった」(40代:パート/アルバイト)
「わたし自身パートを始め、家計を支える馬力が2になった」(30代:パート/アルバイト)

などと、働き始める人が目立つ。

   一方、「苦しくなりそう」と回答した人からは、切実な現実が聞かれた。

「息子が大学進学して、私の医療費が高額なのに働くところもなく、息子の奨学金を利用しないといけないくらい生活が厳しくなる」(50代:今は働いていない)
「生活全般的に価格高騰のため、生活が厳しい。給料が変わらないのに、増税の噂もあるし、不安しかないです」(40代:今は働いていない)
「夫も私も、副業からの収入が80%近く少なくなりました。本業での収入が上がれば嬉しいのですが、上がったのはたったの5%くらい(夫婦とも)です」(50代:パート/アルバイト)
「給料が上がらないどころか、夫のボーナスがなくなりました。2024年には何も期待していません」(40代:パート/アルバイト)
「今も普通の生活ができていない。ダブルワークで毎日働いているが、時給が安すぎる」(50代:パート/アルバイト)

といった悲痛な声が相次いだ。

収入増のための「副業」が減った悲しい理由

   J-CASTニュースBiz編集部は、研究顧問として同調査を行い、雇用労働問題に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに話を聞いた。

――家計のゆとり調査、2022年からの3年間比較では、年々「苦しくなりそう」という人が増えています。その一方で、「ゆとりができそう」という層も昨年よりは増えており、二極化の兆しが見えますが、これはなぜですか。

川上敬太郎さん ここ数年の傾向としては「家計が苦しくなりそう」という声が増え続けています。しかも6割を超えているので、多くのご家庭では厳しい状況にあるのだと思います。

一方で、2023年は新型コロナが2類から5類に移行しましたが、外出や旅行を自粛したり、人づきあいで飲食する機会が減ったりと、消費を抑えられた分が家計にゆとりをもたらしたご家庭もあるかと思います。

また、賃上げ傾向が続く中で、配偶者の収入が増えたケースや、専業主婦だった人が働き始めたり、パート勤務だった人がフルタイム勤務に移行したり、副業を始めたりと家計収入を増やす動きを積極的に行っていたご家庭もあったようです。

――収入増を目指す方法として「ポイ活」がトップですが、何だか切ない気持ちになります。しかも、3年間比較では「副業」が業務委託のアルバイト形式やしっかりした雇用契約ともに、今年(2024年)は前年、前々年より減っています。これは、どうしてなのでしょうか。

川上さん 主婦層が家庭を切り盛りしながら収入を少しでも上乗せする活動として、日々の買い物の際や空いた時間に取り組みやすいポイ活は適しています。そのため、収入増を図る手段を尋ねるといつも上位にきます。

一方、コロナ禍では勤務時間が抑えられて収入が減ったり、仕事を失ったりした人がたくさんいました。生活を維持するために、多少無理をしてでも収入を増やす活動に注力しなければならなかったご家庭も少なくなかったはずです。コロナ禍が3年以上も続く中、その間に疲弊を感じてしまった人もいらっしゃったのではないでしょうか。

それでも「副業」と回答した人が2番目に多いものの、2年間続けてやや減ったのは、収入を増やす必要がなくなったということではなく、できれば収入を増やしたいと考えていても、家計をやりくりするだけでも大変ななか、仕事で無理をしすぎないようセーブする姿勢が反映されているのかもしれません。

これから増税や社会保険負担増の足音も

――厳しいですね。フリーコメントを見ても、今年はさらなる税負担を心配する声も聞かれました。川上さんが一番心に響いたコメントはどれでしょうか。また、今年は救いがあまりないのでしょうか。

川上さん 税負担の増加を気にする声はたくさんみられました。今も税金や保険料など、新たな負担が増える可能性が指摘されているなかで、家計をやりくりする際に明るい展望は描きにくい状況だと思います。

また、「今でも値上げで家計が苦しいです」と物価高に追い込まれている声も多く目にしています。ジワジワと家計が圧迫され続けている状況は、ずっと変わっていません。フリーコメントからは、「もういい加減にして欲しい!」という思いがひしひしと感じられました。

一方で、物価上昇の勢いは一時よりはやや弱くなったように感じますし、スキマバイトなど空き時間にサッと働いて収入を得られるようなサービスも増えてきています。今年の春闘でも賃上げ機運が高まっていますし、厳しい状況に変わりはありませんが、期待も込めて希望の芽が全く見えないという訳でもないのだと思っています。

――なるほど。この調査で特に強調しておきたいことがありますか。

川上さん 2年前の調査でも最も多かったのは「家計が苦しくなりそう」という声でしたが、比率は50%程度でした。それが現在、10ポイント以上も上昇して6割を超えています。全体として苦しいという声が広がるなかで、増税など家計を圧迫する情報に家庭は敏感にならざるを得なくなってきていると感じます。

多くのご家庭は、既に節約などもやり尽くしている感があります。「これ以上、何を節約すればよいのか?」といった声も聞かれます。そこに物価高と増税への懸念がある一方で、賃上げ状況は会社の規模や業種、職種などによって差があります。円安の影響も、勤め先にとってプラスに働いているケースもあれば、マイナスに働いているケースもあります。

賃上げ機運が高まるのは望ましいことですが、既にゆとりを感じているご家庭がさらにゆとりを感じる一方で、今苦しいご家庭が賃上げ機運から取り残されてさらに苦しい状況に追い込まれてしまう懸念もあります。大手企業など恩恵が一部だけに偏ってしまっていないか、注視する必要があると感じています。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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