これから増税や社会保険負担増の足音も
――厳しいですね。フリーコメントを見ても、今年はさらなる税負担を心配する声も聞かれました。川上さんが一番心に響いたコメントはどれでしょうか。また、今年は救いがあまりないのでしょうか。
川上さん 税負担の増加を気にする声はたくさんみられました。今も税金や保険料など、新たな負担が増える可能性が指摘されているなかで、家計をやりくりする際に明るい展望は描きにくい状況だと思います。
また、「今でも値上げで家計が苦しいです」と物価高に追い込まれている声も多く目にしています。ジワジワと家計が圧迫され続けている状況は、ずっと変わっていません。フリーコメントからは、「もういい加減にして欲しい!」という思いがひしひしと感じられました。
一方で、物価上昇の勢いは一時よりはやや弱くなったように感じますし、スキマバイトなど空き時間にサッと働いて収入を得られるようなサービスも増えてきています。今年の春闘でも賃上げ機運が高まっていますし、厳しい状況に変わりはありませんが、期待も込めて希望の芽が全く見えないという訳でもないのだと思っています。
――なるほど。この調査で特に強調しておきたいことがありますか。
川上さん 2年前の調査でも最も多かったのは「家計が苦しくなりそう」という声でしたが、比率は50%程度でした。それが現在、10ポイント以上も上昇して6割を超えています。全体として苦しいという声が広がるなかで、増税など家計を圧迫する情報に家庭は敏感にならざるを得なくなってきていると感じます。
多くのご家庭は、既に節約などもやり尽くしている感があります。「これ以上、何を節約すればよいのか?」といった声も聞かれます。そこに物価高と増税への懸念がある一方で、賃上げ状況は会社の規模や業種、職種などによって差があります。円安の影響も、勤め先にとってプラスに働いているケースもあれば、マイナスに働いているケースもあります。
賃上げ機運が高まるのは望ましいことですが、既にゆとりを感じているご家庭がさらにゆとりを感じる一方で、今苦しいご家庭が賃上げ機運から取り残されてさらに苦しい状況に追い込まれてしまう懸念もあります。大手企業など恩恵が一部だけに偏ってしまっていないか、注視する必要があると感じています。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)