ハラスメント対策に王道なし
――最後に、ハラハラ含めハラスメントのない職場環境をつくるために、会社や社員の意識としてどのようなことを大事にしたらよいでしょうか。
川上さん 職場には職場の数だけ特徴があるので、ハラスメントのない職場環境をつくるためにどんな職場でも必ずうまくいく「魔法の言葉」や「方程式」などは存在しません。また、人はそれぞれ育ってきた環境も価値観も異なるのですから、誤解を完全に防ぐこともできません。
ハラスメント対策に、王道などないのだと思います。しかし、職場にいる誰もが互いにわかりあえたいい状態となるよう、努力することはできるはずです。職場をいい状態にすれば、ハラスメントは生じにくく、誤解が生じても解けやすくなります。
――職場での人間関係に尽きますね。
川上さん 職場の人間関係をいい状態にするうえで最も重要なのは、個々の立場や考えを一方的に押しつけないことです。そして、上司や部下といった立場の違いや性別の違い、考え方の違いなど、それぞれの違いをありのままに受け入れ、お互いを尊重し合うことではないでしょうか。
そんな、尊重し合う関係性こそが、ハラスメントのない職場をつくるうえで欠かすことのできない土台となるのだと思います。
【プロフィール】
川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう):ワークスタイル研究家/1973年、三重県津市生まれ。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業をはじめ複数企業で管理職・役員を歴任。現在は、人材サービスの公益的発展を考える会 主宰、ヒトラボ編集長、しゅふJOB総研 研究顧問のほか、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等に従事。男女の双子を含む4児の父で兼業主夫。