職場の状態が「ブラックボックス」にならないよう
――会社としてはどのような対応が必要でしょうか。
川上さん ハラスメントの相談窓口を設置して、かつ、社内に周知することで、誰もが相談できる体制を整える。そして、職場の状態が「ブラックボックス」にならないよう注視する必要があります。
予防策については、研修などを行って日々の振る舞いがハラスメントに該当しないか、セルフチェックできるよう啓発に努めること。そして、上司が職場の雰囲気をいい状態に保つよう努めているか、感情に任せて叱責していないかなど状況変化を注意して見ておくことが肝要です。
もし上司が上手く対処できていないようなら示唆を与え、自力での対処が難しそうなら適宜介入するなどして軌道修正させなければ、職場状態が悪化してハラスメントの温床となりかねません。
――反対に、ハラスメントが起きてしまったあと、社員にはどのようなフォローが必要でしょうか。
川上さん ハラスメントが取り沙汰されている時点で感情的な軋轢ができてしまっていると考えられるため、上司は適切に対処できず、会社が速やかに介入しなければ、立場が弱い部下はより大きなダメージを受けてしまうことが危惧されます。
会社は、本当に上司がハラスメントを行ったのか、あるいは逆に部下によるハラハラなのかといった状態を、第三者の立場から冷静に見極める必要があります。
――客観的な立場が必要なのですね。
川上さん ハラスメントの相談窓口の設置は法律でも定められていることです。ただ、相談窓口は、客観的な立場から、上司の圧力に屈せずに対応できなければ社員は安心して利用することができず機能しません。
ハラスメントが事実だと確認された場合、相談窓口は、加害者がたとえ社長であったとしても処罰できるような独立した権限を持っている必要があります。