ジャニー喜多川氏性加害、本当は立件できた? 愕然とした当事者、弁護士も「捜査すべきだった」...警察が動かなかった理由とは

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   故・ジャニー喜多川氏による性加害は、SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)の外部専門家チームの調査によると、2015年ごろまで半世紀にわたって続いたとされる。ヒアリングで得た話の数だけでも、小学校低学年から高校1年まで計24件に上り、被害者は複数の証言では「少なく見積もっても数百人」だった。

   「極めて悪質な事件」と前検事総長が座長として指揮する調査で指摘され、SMILE-UP.の東山紀之社長(57)が「鬼畜の所業」「人類史上最も愚かな事件」と表現したほどおぞましいものだった。そんな事件も、警察や検察が立件しなかったが、本当は立件できたのか、関係者への取材から検証した。(前編)(J-CASTニュース編集部 野口博之)

  • ジャニーズ性加害問題当事者の会代表の平本淳也さん
    ジャニーズ性加害問題当事者の会代表の平本淳也さん
  • SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)
    SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)
  • 性加害問題をめぐる旧ジャニーズ事務所の会見(2023年9月7日撮影)
    性加害問題をめぐる旧ジャニーズ事務所の会見(2023年9月7日撮影)
  • ジャニーズ性加害問題当事者の会代表の平本淳也さん
  • SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)
  • 性加害問題をめぐる旧ジャニーズ事務所の会見(2023年9月7日撮影)

「1970 年代前半には芸能界関係者には広く知られていた」

「正直言って、我慢しなくちゃいけないっていう雰囲気作られちゃって、この人の言うこと聞けないとデビューできないんだ...。実際にデビューさせてやるということを聞いていましたから、ジャニーの言うことを聞かないと、デビューできないと思っていました」

   1970年代に人気となったアイドルグループ「フォーリーブス」のリーダーだった故・北公次さんは、グループ解散後の88年、ジャニー氏の性加害を告発した著書『光 GENJI へ』を出版した。翌年のビデオ版でも、40歳になる自らをカメラの前に晒し、涙声になって被害の背景を赤裸々に告白した。

   北さんは、ジャニーズJr.(現・ジュニア)になった15歳のときから被害に遭い、拒否したらスターになれないと長い間我慢した。他のグループも同じことをされ、つらい思いをしているのではないかと心配し、「20年間、まだ同じことを繰り返しているってこと。僕は、それを言いたい」と訴えた。

「12、3...10代です。10代の頭。そういう男の子もやられてるの知ってんだ、俺は。みんな知ってんだよ。芸能界だって、みんな知ってんだよ」
「だから、だますのはよくねぇっつんだよ! その子供だけじゃなくて、親までもだましてさ。俺が告白しなかったら、どうなる? ジャニーズ事務所辞めた人間、みんなつぶされちゃうぜ」

   左手のこぶしを振り上げ、北さんは、こう熱弁を続ける。ジャニー氏に対しては、戦っていく姿勢を示し、「止めろよ、もう。もう繰り返しは止めろよ!」と激怒していた。

   北さんのこの告発によると、15歳で被害を受けてから、北さんを含めたJr.へのジャニー氏の性加害は少なくとも20年は続いた。

   しかし、SMILE-UP.の外部チーム調査によると、この問題は、北さんの時代ばかりでなく、1950 年代からほぼ万遍なく存在していた。そして、北さんが芸能界では周知のことだとしたように、ヒアリングの結果から「遅くとも1970 年代前半には芸能界関係者には広く知られていた」と指摘している。

   北さんが警察に相談に行ったかについては、ビデオ版の告発には出ていなかった。ただ、北さんからこの証言を引き出した関係者は、Jr.のメンバーが警察に相談に行ってもほとんど相手にされなかったと、テレビの報道番組などで当時を振り返っている。

   北さんの著書が「暴露本」の先駆けとなり、その後も、ジャニー氏の性加害について、他のタレントによる出版が続いたが、テレビなどで取り上げられなかったこともあって、注目されなかった。

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