羽田空港C滑走路で日本航空(JAL)機と海上保安庁機が衝突した事故は、ペットを連れた旅行のあり方にも議論が広がっている。貨物室に預けられていたペット2匹を救出できなかったことを受けて、機内にもペットを持ち込めるようにすべきだ、という議論だ。
すでに国内でも、機内にペットを持ち込める航空会社はある。ただ、ペットは機内持ち込みの「手荷物」という位置づけだ。他の手荷物と同様、ペットであっても緊急脱出時に持ち出すことはできない。
小型の犬や猫を指定サイズのケージに収納し、最後尾の窓側座席に固定
スターフライヤー(北九州市)は22年3月、国内定期便としては初めてペットを機内に持ち込めるサービス「FLY WITH PET!」を始めた。持ち込みできるのは、指定サイズ(50センチx40センチx40センチ)のペットケージに入る小型の犬と猫で、最後尾窓側の座席にケージを固定する仕組み。フライト中にペットをケージから出すことはできない。運賃は飼い主以外に5万円必要だ。
サービスは北九州-羽田便のうち1日2往復を対象に始まったが、24年1月15日から全路線・全便に拡大されることになっている。
JAL機のペットをめぐる問題は、1月3日夜の記者会見でやり取りがあった。事故機の貨物室にはペットが2匹預けられ、飼い主には「今、お話をさせていただいて、ケアをさせていただいている」というJALの説明に対して、記者が
「非常に残念な結果になっているという理解でよろしいでしょうか」
と確認したところ、JALは「そのとおりです」と応じていた。
「脱出の際にはペットは機内に置いて行かなくてはなりません」
2匹を救えなかったことが報じられると、ペットが貨物室に預けられていることへの問題意識をSNSで披露する人が相次いだ。ただ、今の仕組みでは、仮にペットを機内に持ち込んだとしても「非常に残念な結果」になる可能性が高い。
スターフライヤーの「ペットの機内持込に関する同意書兼申込書」の最初の項目には
「私は、貴社航空便によるペットの手荷物輸送に当たり、当該輸送中に発生したペットの死傷及び疾患等について、貴社に一切の責任を問わないことに同意致します」
とあり、ペットが「手荷物」として運ばれることが明らかにされている。さらに、この同意書兼申込書で同意することになっている「ペットを機内に持ち込む際の遵守事項」には、
「緊急時の酸素サービスはペットにはご利用頂けません。また、脱出の際にはペットは機内に置いて行かなくてはなりません」
とある。
国交省が航空会社に対して示している「旅客に周知すべき安全情報に関する一般指針」では、緊急脱出時の禁止事項として(1)持込手荷物を持ち出すこと(2)カメラ、ビデオ等により撮影を行うこと(3)ハイヒール等の鋭利なものを身につけること、として周知することを求めている。
1月3日夜の記者会見では、JALは脱出時に荷物を持ち出さない方針が乗客の協力で徹底されたことが「迅速な脱出につながったと評価している」との見方を示している。
FAAも「ペット用容器=機内持ち込み手荷物」
ユナイテッド航空など、国外でもペットの機内持ち込みができる航空会社はある。ただ、米国連邦航空局(FAA)のウェブサイトでは
「FAAは、ペットを客室に持ち込んでの旅行を認めるかの判断を各航空会社に一任している。航空会社がペットの客室持ち込みを認めた場合、ペット用容器を機内持ち込み手荷物とみなし、すべての機内持ち込み手荷物規則に従う必要がある」
などと説明している。米航空会社のウェブサイトには、緊急脱出時のペットの取り扱いに関する記述は見当たらないものの、「手荷物」である以上、持ち出すことは現実的ではないとみられる。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)
マスメディアさん、たくさんご連絡くださっているのですが、対応しきれません。
— Ricole (@ricole0704) January 2, 2024
長めの動画を置いておきますので、使いたければ勝手に使っていただいて大丈夫です。
避難訓練を明日は我が身と思って、真面目に取り組むキッカケになれば幸いです。 pic.twitter.com/aHPLV3x9V6