令和6年能登半島地震の発生を受け、徳島県が石川県に支援物資として弾性ストッキングとマスクを提供したという2024年1月3日のX(旧ツイッター)の投稿に対し、一部で「必要なものは他にたくさんある」などと批判の声が寄せられた。
徳島県危機管理環境部とくしまゼロ作戦課の担当者は、J-CASTニュースの取材に、県から職員を派遣する際の車に積んだものだといい、「なるべく軽く運べて、職員が自分で荷下ろしできるようなもの」として選んだと説明した。
「なるべく軽く運べて、職員が自分で荷下ろしできるようなもの」を送った
話題となっているのは、徳島県が防災・危機管理情報を発信するXアカウントが3日に投稿した、「令和6年能登半島地震の発生を受け、石川県庁にリエゾン派遣した職員により、本日、物資集積拠点に支援物資(弾性ストッキング1,000セット、マスク6,800枚)を提供しました」というもの。称賛の声が寄せられる一方、「必要なものは他にたくさんある」「まず水と食料送ってあげてよ」などの声も見られた。
その後、県は公式サイトとXで、3日に「飲料水や食料等」、4日に「毛布や携帯トイレ、子ども用オムツ」を提供したことを報告している。
J-CASTニュースは5日、支援物資に弾性ストッキングとマスクを選んだ理由について、県危機管理環境部とくしまゼロ作戦課に取材した。同課担当者は、弾性ストッキングとマスクは被災地の情報収集にあたる「リエゾン」として、県から職員を派遣する際の車に積んで運んだといい、次のように状況を説明した。
「県からリエゾンとして職員を2名派遣したのですが、その時に、車に資材以外を積める若干のスペースが空いていました。そこで、(車の)重量制限もあるので、なるべく軽く運べて、職員が自分で荷下ろしできるようなものということで、このようなものを選ばせていただきました」
弾性ストッキングについては「多分、被災地であまり数量をお持ちでないと思う」とし、「車中泊などの際に問題になっているエコノミークラス症候群などのいわゆる災害関連死を防がないといけないということで送らせていただいた」と説明した。マスクについては、「第5類に移行したとはいえ、新型コロナウイルス感染の懸念があることや、インフルエンザも流行っていますので、被災者の感染症を防ぐという意味で送りました」という。
弾性ストッキングは、エコノミークラス症候群対策を目的に備蓄していたといい、その防止効果についても説明した。
「ずっと座ったままだと、重力で血液が下に溜まって、足がむくんできます。膝から下を(弾性ストッキングで)圧をかけることによって血行を良くすると、血管に血栓が詰まるのを防ぐという効果があります。エコノミークラス症候群の防止には、まずは弾性ストッキングを履いて血液の流れを良くするという目的で(弾性ストッキングが)使われます」
「現地の状況に合わせて、今後とも引き続き支援をしていきたいです」
Xでの「必要なものは他にたくさんある」などの声については、
「普通に考えたら、なぜ食料や水を送らないのかという意見はあると思いますが、それは次に、11トントラック2台で(支援物資を)送っています。(弾性ストッキングとマスクは)石川県側にも送ると伝えておらず、こちらの判断で持って行ったものです。相手も忙しくて手が回らないと思うので、自分で荷下ろしができて、向こうで数が少なくて、役に立つだろうというものを選ばせていただきました」
と改めて説明した上で、「徳島県からもリエゾンや情報収集員を送っています。現地の声を聞きながら、現地の状況に合わせて、今後とも引き続き支援をしていきたいです」とコメントした。