リニア整備の資金があったら「北海道の鉄道の近代化にもっと使ったらどうなんですか?」
―― そういうところ(災害時の代替機能)を踏まえても、なかなか作る意味は怪しい、ということですね。
石破: それ(リニア)が日本全体にどういう意味を持つんですか、という検証が十分なされていないのと、1企業が1企業としておやりになるのであれば「それはどうぞ」という話ですが、いつの間にか国費が使われる話になっていますし、どうなんでしょうね。
そのお金があるんだったら、北海道の鉄道の近代化にもっと使ったらどうなんですか?例えば、JR北海道って本当に気の毒だと思っているんです。あの過酷な自然環境で、ほとんど電化が進んでない北海道の鉄道で、あの重いディーゼルをぶっ飛ばせば、そりゃ、ああなりますよ(編注:JR北海道では、設備の老朽化にともなう安全投資の負担が経営を圧迫している)。
(経営安定基金で運用益が出せたのは)まだ金利が高かった時代の話で、その頃の金利で運用すればやれたでしょうけど、今これだけ金利が下がっていて、別にJR北海道の努力が足りないとか、労使関係がうまくいってないとか、そういう要素はないとは言わないけれど、リニアを作るお金があるんだったら、北海道の鉄道近代化の方がよっぽど意味があったと思いますけどね。(第2回へ続く。1月5日掲載予定です)
石破茂さん プロフィール
いしば・しげる 衆院議員。1957年生まれ、鳥取県出身。慶應義塾大学法学部卒業後、三井銀行(現・三井住友銀行)入行。1986年、全国最年少議員として衆院議員に初当選。現在12期目。自民党では幹事長、内閣では防衛大臣、農林水産大臣、地方創生・国家戦略特別区域担当大臣などを歴任した。