静岡・川勝知事を説得する方法は「分かりませんなぁ。全然分かりません」
―― 「基本計画路線」の中で進捗が早かったのがリニア中央新幹線ですが、静岡県の川勝平太知事は、湧水をめぐる問題を理由に慎重姿勢を示しています。こういった声は、どうすれば説得できるでしょうか。
石破: 分かりませんなぁ。全然分かりません(苦笑)。私はリニアそのものが何の意味があるのかよく分からない。そう思ってる人は実は多いんじゃないの?東海道新幹線ができたときも、相当に計画自体に批判がありました。大蔵省(当時)では「昭和の三大馬鹿査定」と言われたそうです。戦艦大和、青函トンネル、東海道新幹線(編注:諸説あり。伊勢湾干拓を含める場合もある)。ただ、当時は東海道線が飽和状態だったし、日本経済が伸びていく時代だった。東海道新幹線の構想にはものすごく先見性もあったわけですが、リニアというのは本当にいるのかね?と思ってる人って、実はいっぱいいませんか?
―― 新しい技術に不安を持っている人もいるかもしれませんね。
石破: それは、そんなもんです。「のぞみ」ができたときも、「そんなもの走らせて大丈夫か」みたいなこと言う人もいましたし、新しい技術は常にリスクがあるものです。その上で、リニアというものに意味がないとは言いませんが、東京-大阪間が1時間で結ばれて、それがどうしたの?という人は多いのではないでしょうか。
―― 「のぞみ」だと東京-新大阪で2時間半。微妙な短縮幅でしょうか...?
石破: そうだと思いますけどね。大体、税金を1円も入れないって話じゃなかったんですか?
―― 当初はJR東海が自腹(自己資金)で建設する計画でした。
石破: いつの間に財投を使う話になったんです?(編注:安倍晋三首相(当時)が16年7月の記者会見で全線開業を最大8年間前倒しすることを表明し、政府は財政投融資を活用して3兆円をJR東海に貸し付けている)。そこはおかしくないだろうか、と思うんですね。
―― 実は、過去の国会答弁を検索すると、14年11月14日の参院・地方創生に関する特別委員会で、地方創生担当相として「非常に災害に対して強い乗り物であるということ、そしてまた東海道新幹線に仮にダメージが生じたときにそれを代替する、そういうような機能も持つもので」などと答弁しています。これは立場上おっしゃらざるを得なかった、ということですね。
石破: それは言わざるを得ないですね。それはね。