羽田事故、世界を驚かせた「奇跡」の裏側...JAL幹部が明かす CAが迫られた「判断」

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「荷物を置いて飛行機を降りるという基本的な規律による、奇跡の脱出だ」

 

   JALの事故対応をめぐっては、事故直後から「奇跡」だと評価する声が海外から相次いだ。シンガポールのニュース専門チャンネル、チャンネル・ニュース・アジア(CNA)では、航空専門サイト編集長のジェフリー・トーマス氏が

「私が言えるのは、彼ら(乗客)が暗黙のうちに指示に従い、手荷物を持ち出そうとせず、ただ立ち上がって可能な限り速く降りたという事実だけだ」

と指摘した上で、「90秒ルール」の存在に言及。90秒ルールとは、米連邦航空局(FAA)が定めた商用機(旅客機・貨物機)の安全基準のひとつで、機内の全非常用脱出口の半分以下を使って、事故発生から90秒以内に乗客乗員全員が脱出できる構造にすることを求めている。

   今回のJAL機では、ドアを3つしか使わなかった点について

「これは驚くべき脱出であり、奇跡的な脱出だ。荷物を置いて飛行機を降りるという基本的な規律による、奇跡の脱出だ」

などと指摘した。

   ロイター通信は、航空コンサルタント会社の航空安全担当役員、ポール・ヘイズ氏の見解を紹介。ヘイズ氏は、乗客は脱出時に手荷物を持っていなかったようだとした上で、

「CAが良い仕事をしたに違いない。全員が降りられたのは奇跡だ」

   とした。

   英BBCでは航空アナリストのアレックス・マケラス氏が、脱出成功は「特殊な部類」だとして、「教科書通りの避難」が行われたと指摘した。

「CAは炎に囲まれていない安全なドアを見つけ、教科書通りの避難を開始することができた。すべてのドアが開いたわけではなく、すべての避難スライドが展開されたわけでもなかったのは、そのためだ。素早く効率的な避難を始めるために、どのドアを開けるべきか、適切な判断をしている」

   一方で、「そうでないこともある」と指摘。恐怖を感じた乗客が避難を遅らせることもあるためだ。いわく「本能的にパスポートやバッグを荷物置き場から取り出そうとすることもあり、そのすべてが避難の成功に影響する」。こういった事情を踏まえても「教科書通りの避難」だったとした。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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