本来なら機長の指示必要だが...CA判断でドア開ける
後方のCAは、さらに踏み込んだ判断を迫られた。堤氏によると、「前方からの(脱出)指示を待っていたが、ないということだった。着陸の際に機内に煙が入り始めて、かなり濃い煙が充満してきたということだ。外を窓越しに見たところ、オレンジ色のものが見えたので、火だと認識した」。右側後方のR4は「火が見えたため開けられない」として、他のドアに誘導。左側後方のL4は「火災がなく、脱出シュートを展開する余裕もあった」ため、ドアを開けた。本来ならば機長の指示が必要だが、インターホンが使えないため、「最終的に脱出指示を自分で判断してお客様を外にご案内した」という。
ただ、こういった手順は事前に決まっており、その手順を訓練してきた成果が出たとみている。さらに、パニックを抑えながら、どのドアを開けるべきか適切に判断できたと評価している。
「非常事態に関してもしっかりと訓練を受けており、その中のプログラムで、コックピットと連絡がつかない場合、どう判断するかということも、もちろん盛り込んである。そういった訓練を通して、日々ケーススタディーをしながら備えてきた成果が出たと評価している」(堤氏)
「不用意にドアを開ける事がないようにということも含めて、まずパニックコントロール。それから外部、被害状況確認。それから、開けていいドア、開けてはいけないドアの判断...こういうステップを踏んだことによって、危険な状況に陥るであろうドアを開くことなく、安全なドアから脱出できたことが大きい」(同)
乗客が荷物を持ち出そうとしなかったことも奏功した。青木紀将・総務本部長は
「今回、その徹底がお客様の協力もあって、なされた。これが迅速な脱出につながったと評価している」
と話した。