2024年も明けて、1月1日はニューイヤー駅伝、2日・3日は箱根駅伝の観戦を楽しむ人も多いのでは。若きランナーの応援だけでなく、自らも走る市民ランナーにとっては、2月25日は大阪マラソン、3月3日には東京マラソンなど、待ち遠しいマラソンのイベントも目白押しだ。
しかし、ランニングブームには陰りが見えるらしい。市民マラソンの出走者が2019年と比較すると、2023年は1000人規模で減少しているというのだ。
大会参加者が減っているのはなぜか。そして、どうしたらブーム再興につながるか、J-CASTニュースBiz編集部は専門家を取材した。
大会参加費の値上げも「頭が痛い」
2023年に都市部で開催されたマラソン大会の出走者について、2019年との比較で確認していこう(以下、いずれも公式サイトによる)。
2023年2月19日開催の「京都マラソン2023」では、2019年の出走者は1万5832人から、2023年は1万4802人となり、1030人の減少だ。
また、2023年2月26日開催の「大阪マラソン2023」では、3万2979人(2019年)から、2万9285人(2023年)となり、3694人の減少となる。
さらに、2023年10月29日開催の「横浜マラソン2023」では、2万6920人(2019年)から、2万4500人(2023年)となり、2420人の減少となっている。
例外は、2023年3月5日開催の「東京マラソン2023」だ。東京マラソン2023では、3万7604人(2019年)から、3万8000人(2023年)となり、396人の微増だった。
このように、東京マラソン2023を除く、大きな都市で行われた大会では1000人~3000人と、1000人規模で出走者を減らしていた。また、ある地方市町村主催の大会の関係者もJ-CASTニュースBizに、2019年と2023年と比較して、参加者が1割から2割程度ほど減ったと話した。
なぜ出走者は減少したのだろうか。J-CASTニュースBiz編集部が調べると、ひとつ関連しそうなのが2022年ころから大会参加費の値上げの影響だ。さきほど挙げた都市部の大会でも、軒並み値上がりしている。
京都マラソン2023は参加料1万8000円で、19年と比較して6000円の値上げ。大阪マラソン2023は1万7000円で、19年との比較で6800円の値上げ。
東京マラソン2023は1万6500円で、19年との比較で6300円の値上げ。横浜マラソン2023は2万円で、19年との比較で5000円の値上げとなっている。
人によっては遠征まで考えるとなると、移動費や滞在費もかかり、そこまで含めると出費も馬鹿にならない。
地方の大会が再開へ インバウンドのランナーも増え、活気増す
市民マラソンの出走者は減少の状況下にあったが、2024年は変わっていくのだろうか。J-CASTニュースBiz編集部では、ランニング専門雑誌「月刊ランナーズ」の行場竹彦編集長に市民マラソンの値上げの影響や、2024年の動向について意見を求めた。
まず、大会参加者が減っている背景について行場編集長は、「コロナ禍で大会がなくなり、大会に参加する習慣が途切れてしまったランナーはいると思います」と語る。
大会参加費の値上げの影響では、「毎月複数の大会に積極的にエントリーしていた人が、出場する大会を絞るようになっている話を聞きます」。こうした大会をかけ持つ人が減ったことが、参加者減につながっているようだ。
もっとも、2019年と2023年の間には、コロナ禍があったことも事実。これについては「コロナ禍自体はランニング業界にとっていい影響も与えました。在宅勤務の合間にランニングを始める人も出ましたし、ランイベントやリモートのイベントへの参加者が増えたりしています」と説明した。
では最後に、2024年、ランニング業界やマラソン大会をもっと盛り上げていくために必要なことは――。行場編集長はこう話す。
「やっぱり、新しい大会の新設や、地方大会の復活などが必要だと思います。ちょうど、24年3月には『ふくい桜マラソン2024』が新しく始まりますし、2月には『さいたまマラソン』、3月には『静岡マラソン』など地方の大会が再開していくので、2024年は市民マラソンにとって良い年になりそうです。また、5類移行によってインバウンドのランナーも増えてきているので、全国各地での大会の実施はランニング業界の活気につながることでしょう」