「製造業の海外流出」と「サービス業の割合増加」が影響
人口1.2億人を抱え天然資源ない日本が、これら上位企業と同じ方策を採れるとは思えない。まずは低労働生産性の中身を分析する必要があるだろう。
2022年9月発表の厚生労働省「令和4年版労働経済の分析」には、日本の産業別の労働生産性が掲載されている。雇用者におけるマンアワーベース(従業員1人・1時間)の労働生産性が最も高い産業は「情報通信業」で、2000年代の8600円台からは下がったものの、2020年で7965円と高水準だ。
「製造業」は増加傾向で、2001年の4283円から、2020年には5967円に増えている。一方、労働生産性が最も低い「飲食・宿泊サービス業」は2020年に2611円、「運輸・郵便業」は3117円、「保健衛生・社会事業」は3256円で、大きな差がついている。
実質賃金を上げるためにも、労働生産性の向上は喫緊の課題だ。都内のIT企業で人事部門に勤める40代男性Aさんは「日本の労働生産性が下がったのは、決してサボる労働者が増えたり能力が下がったりしたのではない」と強調する。
「一番大きいのは、労働生産性が比較的高かった製造業の工場が海外に流出してしまい、労働生産性の低いサービス業の割合が高まったからでしょう。これを解決するために、日本はこれから『賃上げ』と『転職』が大きなテーマになると思います」