旧ジャニーズ、宝塚、楽天の選手、エネオス社長... 2023年にさらされたハラスメントが示す今の日本

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セクハラを「上手く受け流せるようになって一人前」だった昭和

   ただ、さまざまなハラスメントが生じている、ハラスメントブームの背景には、長くハラスメント被害に耐えてきた人たちの苦しい過去が下地にあります。昭和の職場では、女性社員は一まとめに「女の子」と呼ばれ、「誰か女の子に言って、お茶持って来させて」などという言葉が飛び交っていました。

   また、宴席では女性社員が男性上司の横に座って、お酌するのが暗黙のルール。性的なからかいに不快な思いをしたとしても、「上手く受け流せるようになって初めて一人前」と、かえってたしなめられたりしました。

   さらに、セクハラする側は女性が嫌がる姿を楽しんでいるだけに、たちが悪い。嫌がって怒る様子さえ、「怒った顔もかわいいねぇ」などと面白がる始末。昭和の頃、被害者側としては、戦う気すら失せてしまう雰囲気がありました。

   しかし、いまは違います。セクハラなどの「〇〇ハラスメント」という言葉が生まれたことによって、一連の不快な振る舞いに輪郭がつけられ、「やってはいけないこと」として概念が共有されるようになりました。

   そして、「〇〇ハラスメント」という言葉それ自体が、これまで被害を受けてもなすすべがなく、抵抗することさえできなかった人たちにとって、長く辛酸をなめてきた末にようやく手にした武器といえるでしょう。

   ところが、世の中の事象は、複雑に絡み合っていることが常。今度は「それ、セクハラですよ」などと訴えられれば、言われた側がたじろぐケースも見られるようになってきました。さきほど挙げたハラハラがそれです。「〇〇ハラスメント」を乱用して、過剰に騒ぎ立てるような事態がいま懸念されています。

   このように、かつては加害者が一方的だったハラスメントが、「○○ハラスメント」の浸透によって、被害者が反撃して係争が生じたり、さらには過剰反応して加害者側になってしまう。その一方で、旧態依然としたハラスメントもいまだ横行していたりと、いまの職場はハラスメントをめぐって混沌とした状態が生じています。

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