高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
「マイナンバーカードを落としたら大変」は思い込み...紙の保険証廃止でも、混乱は起きないだろう

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危ない保険証を持ち歩くより、マイナ保険証を持ち歩いたほうがいい

   ただし、マイナ保険証の利用率をみると、筆者は例外らしい。実際、筆者の行く病院では、多くの人がマイナ保険証ではなく、保険証を窓口に提示している。マイナンバーは持っており、保険証との紐付けも済んでいるが、マイナンバーカードを持ち歩かず家において、保険証を持ち歩き、病院窓口で提示しているのだろう。

   これはリスク管理の観点から見れば、かなり非合理だが、マイナンバーカードを落としたら個人情報が漏れて大変だという思い込みだろう。

   ICチップの中に個人情報が満載と思っている人も多いが、実は、カード面に記載されている情報(氏名・住所・生年月日・性別・個人番号・本人の写真など)や公的個人認証の電子証明書だけだ。落としたら、クレジットカードと同じように、コールセンターへ電話して一時停止するだけだ。

   保険証を紛失したら、最寄りの警察署への紛失届を出さなくてはならない。顔写真やICチップのない保険証は悪用されやすく、勝手に医療費が使われたり、身に覚えのないローンが組まれていたりということもある。こんな危ない保険証を持ち歩くより、マイナ保険証を持ち歩いたほうがいい。国民がこれをわかれば、マイナ保険証の保有率は高いので、混乱は起きないだろう。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「『年金問題』は嘘ばかり」(PHP新書)、「マスコミと官僚の小ウソが日本を滅ぼす」(産経新聞出版)など。


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