中途入社者が選ぶ「士気が高い企業ランキング」 ネームバリューなくても人気、有名企業が見習うべき魅力

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   熱気がムンムン伝わってくる新しい職場。「ああ、この会社に転職して本当によかった~!」と、新天地で働く喜び。

   転職のためのジョブマーケット・プラットフォーム「OpenWork」を運営するオープンワーク(東京都渋谷区)が「中途入社者が選ぶ『社員の士気が高い企業ランキング』」を2023年12月20日に発表した。

   上位30社には、あまり知られていない企業が続々とランクインしている。中途入社者のやる気を大いに引き出している魅力はどこにあるのか。

  • 士気が高い会社に転職して、よかった!(写真はイメージ)
    士気が高い会社に転職して、よかった!(写真はイメージ)
  • (図表1)中途入社者が選ぶ「社員の士気が高い企業ランキング」(オープンワーク作成)
    (図表1)中途入社者が選ぶ「社員の士気が高い企業ランキング」(オープンワーク作成)
  • (図表2)中途入社者が選ぶ「社員の士気が高い企業ランキング」スコア比較(オープンワーク作成)
    (図表2)中途入社者が選ぶ「社員の士気が高い企業ランキング」スコア比較(オープンワーク作成)
  • 士気が高い会社に転職して、よかった!(写真はイメージ)
  • (図表1)中途入社者が選ぶ「社員の士気が高い企業ランキング」(オープンワーク作成)
  • (図表2)中途入社者が選ぶ「社員の士気が高い企業ランキング」スコア比較(オープンワーク作成)

ユニークな企業の数々

   「OpenWork」は、社会人の会員ユーザーが自分の勤め先の企業や官庁など職場の情報を投稿する国内最大規模のクチコミサイト。会員数は約600万人(2023年11月時点)という。「OpenWork」では、企業の評価を「待遇面の満足度」「社員の士気」「風通しの良さ」「20代成長環境」など8つの指標を5段階で評価している。

   今回の調査では、特に「社員の士気」の高さの指標に注目して、約13万6000人の中途入社した社員による会社評価スコアでランキングを作成した【図表1】。

   その結果、1位にボストン・コンサルティング・グループ(本社米国)、2位にA.T.カーニー(同)、3位にイグニション・ポイント(東京都渋谷区)と、トップ3を日米のコンサル会社が独占した。

   そのほか、グーグル、アマゾン、プルデンシャル生命などの外資系やIT関連企業などが目立つが、興味深いのはあまり知られていない日本企業が多いことだ。そうした企業のウェブサイトを見てみると――。

   たとえば、4位の「キャディ」(東京都台東区)は、大手メーカーから特注部品を受託し、台東区内にある専門技術を持つ町工場に委託仲介する、いわば地域の産業興しの企業なのだ。5位の「GA technologies」(東京都港区)は、AI(人工知能)を活用した中古不動産専門のプラットフォーマー。6位の「TOKYO BASE」(東京都港区)は南青山にオフィスを持ち、日本発ブランドを世界に発信するファッションメーカー。

   7位の「PLAN・DO・See」(東京都千代田区)は独自のスタイルを持つホテルやレストランを世界中に展開(日本17・海外8)、「日本のおもてなしを世界中の人々に」をキャッチフレーズにしている。26位の「リツアンSTC」(静岡県掛川市)は、「技術者集団」をキャッチフレーズに、業界最高水準の供与を保証するエンジニア専門の人材派遣業だ。

半年が3年分、大企業では味わえないスピード感

   リポートでは、こうした企業の中途入社者のクチコミを紹介している。

キャディ「とにかくスピード感が早く、チャレンジできる領域が広い。自分がやった仕事で物事が目の前でぐんぐん動いている瞬間は、大企業では味わえない醍醐味がある。『やろう』と言ったことがすぐに動き出し、半年が3年分ぐらいのスピードで進んでいく。周りに色々な企業から来たプロがいるので、何かやりたいときはすぐにアドバイスや知見をもらえる」(企画系、女性)
キャディ「産業を変革するという姿勢に共感して入社するメンバーが非常に多い。高い視座で仕事をしているメンバーと一緒に、まだスタンダードが作られていない業界の変革をリードすることの働きがいは非常に高い。多くの大企業からやりがいをベースにして参画するメンバーが多いが、フラットな評価制度で明確にインパクトを残していると正当に評価される仕組みになっている」(プロジェクトマネージャー、男性)
GA technologies「とにかく若手にチャレンジさせようという風土がある。グループ特有の文化や価値観が存在し、自己成長だけでなく組織やチーム、顧客のためにというマインドと本気で世界のトップを目指そうと意気込んで仕事をしている」(営業職、男性)
Plan・Do・See「常にお客様にベクトルが向いているため、ブレることなく高いホスピタリティを維持して働くことができる」(営業、女性)
TOKYO BASE「結果主義。若くして役職者になることができ、非常にスピード感を持って出世を目指せる環境である」(営業、男性)

企業のミッションやビジョンが社員一人ひとりに浸透

   J‐CASTニュースBiz編集部はオープンワーク広報に話を聞いた。

――30位までのランキングを見ると、全体的に外資系やコンサル会社、IT関連会社などが目立ち、日本の巨大メーカーや5大商社など、誰でも知っている有名企業が見当たりません。目につく著名企業といえば、リクルートや中外製薬くらいです。

やはりこれは、日本のビッグ企業は新卒一括採用や年功序列の傾向が強く、中途入社者が伸び伸びと能力を発揮する環境に乏しいということでしょうか?

オープンワーク広報 今回、外資vs日系での比較は行っていないため、一概に申し上げることはできません。上位30位にランクインしなかったものの、集計対象のなかには自動車メーカー、ビール会社、電機メーカー、大手商社などの日系大手企業が含まれます。

上位30社から漏れてはおりますが、比較的スコアが高い日系大手企業もございます。今回のランクイン企業に関しては、社員の入れ替わりが比較的激しいコンサルティング企業や、経験者採用に積極的な企業が多い傾向が見られ、中途社員の受け入れ態勢が整っていることが推察されます。

ご参考までに、当社が今年(2023年)6月に発表した「40~50代の中途入社者が評価する『育成環境が優れた企業ランキング』」では、2位の中外製薬をはじめ4位に野村證券、7位に三井住友銀行などがランクインしております。

――30位までのランキングを見ると、多くのベンチャー系企業が入っているのが目につきます。特に4位の「キャディ」は、東京都台東区のモノづくりに長けた中小企業と、大手企業の部品調達を橋渡しする、地域産業興しのユニークな会社です。

また、静岡県掛川市の「技術者集団」企業である「リツアンSTC」も26位にランクインしました。世界にブランドを発信する6位の「TOKYO BASE」もそうですが、こうしたモノづくりにこだわる企業が、多くランクインした理由はどこにあると考えていますか。

オープンワーク広報 ご指摘の3社の共通点として、「人事評価の適正感」スコアの高さが挙げられます。特に、「リツアンSTC」は4.5点と高評価です。公平に評価をしていることで、コトに集中できるというのは士気の高さにつながるのではないかと推察されます【図表2】。

3社とも「人事評価の適正感」が比較的高い理由の背景として、企業文化や働きがいのクチコミ欄に、「実力主義」といったキーワードが目立つ傾向が見られたことが挙げられると思います。

――今回の調査で明らかになった、中途入社者から見て「士気が高い」企業や業界の特徴には、ズバリ、どんなことが挙げられるとお考えですか?

オープンワーク広報 業界別では、上位3社をコンサル会社が占めました。ランクイン企業の「組織体制や企業文化」からみる特徴としては、企業のミッションやビジョンが社員一人ひとりに浸透し、社員に一体感があることが挙げられます。

また、評価基準が明確であることに加え、上位30社の「人事評価の適正感」スコアも軒並み高評価であることから、納得感のある評価制度となっていることがうかがえます。「成長環境」から見る特徴としては、上位30社は「20代成長環境」スコアも高く、スピード感を持ってさまざまな仕事に挑戦できる機会が豊富であることが傾向として見られました。

士気を大いに高める「ベンチャー気質」の風土

――ところで、リポートの解説の中に「待遇面」では、平均点の3点を下回る企業が5社もあったと書かれています【図表2】。待遇があまりよくないのに、それでもランクインした背景には、中途入社者の士気を大いに高める、ほかに突出した魅力があったからだと思いますが、それはいったい何でしょうか。

オープンワーク広報 5社に共通して見受けられたのは、「ベンチャー気質」な企業文化です。具体的には、「年功序列でないフラットな風土がある」「企業文化が社員に浸透している」といった点です。

特に、後者に関しては、一般的に新卒社員が多い企業では文化の浸透が割としやすいと言われる傾向にあり、反対に異なるバックグラウンドを持つ中途入社が多い企業は、文化の浸透に課題を感じやすい傾向があると言われております。

一般的にこのような傾向があるなか、待遇面の満足度はそこまで高くなくても士気が高い企業は「文化の浸透」に対する取り組みが特に強い印象が見られました。ご参考までに、5社の一部の特徴的なクチコミをご紹介します。

「とにかく若手にチャレンジさせようという風土がある。また代表・役員含め役職者が率先して仕事を行うため、いわゆる上司が働かない環境はない。またグループ特有の文化や価値観が存在し、自己成長だけでなく組織やチーム、顧客のためにというマインドと、本気で世界のトップを目指そうと意気込んで仕事をしている人や会社の文化が強くある」

「製造業を根本的によくしようというビジョンに対する熱意が強く、その熱意を企業カルチャーとして浸透させる努力が半端ない。カルチャーを維持するための取り組みが多く、イベントやアワードもある。(中略)トップダウン感がなく、透明性高く意見交換しながら行われる様子なので、皆さん士気高く仕事されており、協調関係と信頼関係はかなり強いと感じている」

――熱気がムンムン伝わってくる、とてもいいクチコミですね。今回の調査で特に強調しておきたいことや、調査担当者として面白いなと感じたことはありますか。

オープンワーク広報 2点あります。1点目は「待遇面の満足度」との関係です。先ほど述べたとおり、上位30社のうち3点を下回る企業が5社ありました。待遇があまり良くないと士気も下がりそうなものですが、決してそうではないという結果は意外に感じました。

2点目は、ランクイン企業の顔ぶれです。今回のランキングでは、勢いのあるベンチャー企業や、まだあまり名前が知られていない企業もランクインしており、こうした企業にも突出した強みや魅力があることがうかがえました。

転職を検討する際は、ネームバリューのある大企業に目が行きがちだからこそ、求職者にとって、本当に自分に合う企業を探すヒントになるリポートになったのではないかと考えております。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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