危ない年頃の中学生に、むしろ「管理」が緩くなる理由
さて、モバイル社会研究所の調査(2022年11月)は、小中学生とその親600人が対象。サービスを利用しているかどうかを聞くと、小学生では75%、中学生だと58%が利用していた。中学生の17%は、契約時(初めてスマホを購入した時)には契約したが、その後利用しなくなった。
興味深いのは、サービスの実施率を2018年から2022年までの4年間の推移で見ると、小学生は64%から75%に約1割増加したのに対し、中学生は逆に67%から58%に約1割減少したことだ【図表1】。
アダルトサイトや出会い系サイトなど、危険なアプリに接する機会が多くなる中学生になぜ管理が緩くなるのだろうか。
サービスの実施内容を聞くと、「閲覧内容のフィルタリング」が学年問わず、90%近くになった。次いで「コンテンツの購入、ダウンロード制限」「端末の利用時間の制限」と続いた。全体的に小学生のほうが親の管理が厳しい【図表2】。
ところで、18歳未満の子どもがスマホを購入する際、原則ペアレンタル・コントロール・サービスの加入が義務化されているが、サービスを設定できない親がかなりいることがわかった。【図表3】は、サービスが設定できる親と、設定できない親を比較したグラフだが、どのサービスも設定できない親が42%もいた。
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当したモバイル社会研究所の水野一成さんに話を聞いた。
――ペアレンタル・コントロール・サービスの利用で、4年前(2018年)に比べ、小学生が10ポイントも増えているのに、中学生が逆に約10ポイントも減っているのはなぜでしょうか。
中学生のほうが、ゲームとか、いかがわしいアプリとか、一番心配な年代なのに理解できません。反抗期の子に遠慮しているのか、無関心なのか、親として無責任な気がします。
水野一成さん スマホの所有開始年齢の低年齢化が関連している可能性があります。低年齢化に伴い、今の中学生は小学生からスマホの利用をしている子が増えました。特に小学生の高学年はより利活用が増えています。
このことから、一定数の中学生はスマホの利活用経験者が4年前に比べて多くなっており、「スマホ利用に慣れた」中学生が増えたため、ペアレンタル・コントロールの率が減っていることも一因ではないか、と推察しています。