「毎月投資」のドルコスト平均法が利かない理由
J‐CASTニュースBiz編集部は、リポートをまとめた井出真吾さんに話を聞いた。
――資産運用動画サイトなどでは、「毎月投資」の有利さを説明する理由に「ドルコスト平均法」を持ち出すところが少なくないですが、なぜ「ドルコスト平均法」はあまり有効ではなかったのでしょうか。
井出真吾さん 「ドルコスト平均法」はバブルの清算を行なっていた平成時代には有利だった投資方法です。バブル経済が崩壊した1991(平成3)年頃からアベノミクスが始まる2012(平成24)年頃まで、日本株はずっと右肩下がりのカーブを描いていました。
このように株価が下落傾向にある時は、「ドルコスト平均法」はリスクへの強さを発揮していたのです。私は、リポートの中で投資した年ごとの直近(2023年11月末時点)の資産額も計算して、「1月一括投資」のほうが「毎月投資」より資産額を多かった年数を出しました。
【図表3】が全24年間の「1月一括投資」の勝率です。これを見ると、「S&P500」「オルカン」「日本株」そろって勝率は8割~9割以上ですが、「毎月投資」のほうが3指数すべてで有利だった年もありました。それが2002年と2008年の2つです。2002年はITバブル崩壊後の景気低迷、2008年はリーマンショックで世界的に株価が下落した年でした。
【図表4】が2002年と2008年のS&P500の株価指数の推移グラフですが、日本がバブルを清算した時もこのような下降グラフを描いており、その時は「ドルコスト平均法」が有効でした。