12・26タパレス戦も死角なし なぜ井上尚弥に「番狂わせ」が起きないのか

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   プロボクシングの世界スーパーバンタム級4団体王座統一戦の計量が2023年12月25日に神奈川県横浜市で行われ、WBC・WBO世界スーパーバンタム級王者・井上尚弥(大橋、30)、WBA・IBF同級王者マーロン・タパレス(フィリピン、31)ともに1発パスした。王座統一戦は26日に東京・有明アリーナで行われる。

   今回の王座統一戦で井上が勝利すればバンタム級に続いて2階級で世界4団体王座統一となる。これまでいかなる王者、挑戦者にも屈せず世界4階級を制し25戦全勝(22KO)の驚異的なレコードを誇るモンスター。常に下馬評通りに圧勝で王座を奪取し今回も圧倒的優位とする見方が多数だ。なぜ井上の試合で「番狂わせ」が起きないのか。J-CASTニュースは、TMKジムの金平桂一郎会長(58)に分析してもらった。

  • 井上尚弥選手(写真:山口フィニート裕朗/アフロ)
    井上尚弥選手(写真:山口フィニート裕朗/アフロ)
  • 井上尚弥選手(写真:山口フィニート裕朗/アフロ)

比メディア「世界最高の王者と考えられる井上は再戦に興味を持っていない」

   井上は12年10月のデビュー戦以来、プロのリングで負けたことがない。日本、東洋太平洋王座を獲得し14年4月にWBC世界ライトフライ級王座を獲得して以来、実に20試合の世界戦を行った。

   4団体王座統一に成功したバンタム級時代は、全ての団体の王者をKO・TKOで破り王座を獲得。スーパーバンタム級転向第1戦目となったWBC・WBO世界スーパーバンタム級タイトル戦では、王者スティーブン・フルトン(米国)を8回TKOで破り2団体王者となった。

   現在6連続KO・TKO中でタパレス戦でもKO勝利が期待される。多くの海外専門メディアでは井上優位は動かず、タパレスの地元フィリピンメディアも井上の異次元の強さを認めている。

   フィリピンメディア「philstar」(WEB版)は24日、「井上VSタパレスには再戦条項なし」とのタイトルで記事を公開。「井上陣営はタパレス戦勝利に自信を持っていたため、試合契約に再戦条項を選択しなかったに違いない」とし、「再戦条項は驚くべき番狂わせが起こった場合の一種のセーフティネットだが、世界最高の王者と考えられる井上は再戦に興味を持っていない」と指摘した。

「すべての面で井上選手を脅かす選手がいない」

   なぜ井上の試合で「番狂わせ」が起きないのか。金平会長は「対戦相手よりも非常に能力値が高いからです」とシンプルに答え、次のように理由を説明した。

「ボクシングはたまに番狂わせが起きるが、基本的に番狂わせが起きづらいスポーツです。なぜかといえば相対の個人スポーツなので他の競技と比べて実力通りの結果になることが多い。ラッキーパンチで勝つことはあるが、確率的にいってより実力、実績のある選手が勝つ。井上選手は圧倒的にスピードとパワーがあり、現在のスーパーバンタム級を見回してボクシングにおける技術などすべての面で井上選手を脅かす選手がいない」

   さらに「(ノニト)ドネア選手との初戦の時もどうなるんだという見方はありましたが、結局井上選手のレベルが非常に高いので番狂わせは起きなかった。井上選手は緩むタイプではないし隙も無い。練習をさぼることもないでしょう。ひたすら自分が強くなるために鍛錬を続けている。元々素晴らしい才能がある選手が手を抜かないのですから負けるわけがない」と解説した。

   井上の勝利は動かないとする金平会長は、タパレスが井上に勝つとすれば「乱戦に持ち込むしかない」とし、次のように解説した。

「井上選手が打ち込んだところにひたすら合わせる。先にパンチを効かされてしまうかもしれないが、それしかない。小手先の技は全く通用しない。タパレス選手がアウトボクシングをして目先を変えてもそれが通用する相手ではない。勝つためにはひたすら井上選手の中に入っていってショートで打ち抜く。こういう乱戦を試行しないと難しいと思いますが、今回に限っていえば番狂わせが起きる要素がないと思います」

   23年4月にWBA・IBF世界スーパーバンタム級王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)を破り王座を獲得したタパレスは37勝(19KO)3敗。

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