ダイハツ工業の不正問題が波紋を広げている。2023年12月21日には朝日新聞デジタルが、ダイハツの24年の初売りキャンペーンが中止になると報じた。
同社の初売りキャンペーンは、近年「大初夢フェア」と題され、年初に大量のテレビCMが流れていた。中止なら、24年初頭は当然、CMは流れない。こうなると、各テレビ局がダイハツのCMの放送を当て込んでいた場合は痛手となるのではないか。
三が日のCM放送秒数ランキングで今年2位
ダイハツのCMは、2023年元日から3日までの三が日のCM放送秒数ランキング(ビデオリサーチ調べ)で、第2位(4755秒)だった。一方、18年には三が日のCM放送本数ランキング1位(336本=同社調べ)に輝いていた。
J-CASTニュースBiz編集部は、放送コラムニストの高堀冬彦氏に話を聞いた。放送されるはずだったCMが突如、中止に追い込まれた場合について、
「企業や出演タレントが不祥事を起こし、CMが流せなくなってもテレビ局には経済的損害は一切ありません」
と説明した。
高堀氏の解説は続く。仮定の話だが、ダイハツが「初売りCM」を年始に放送するつもりであったとしたら、「CMは作っておかないと全然間に合いませんし、(テレビの)CM枠も後からでは抑えられません」。
実は12月21日、山形放送ラジオ(YBC)ではダイハツ提供の冠番組「ダイハツドライビングミュージック」のCMが、ACジャパンのものに差し替えられていたとスポニチアネックスが報じた。もし、テレビ用に準備していた「初売りCM」がお蔵入りになってしまうとしたら......。
「ダイハツも加盟しているACジャパンのCMに差し替えられ、ACジャパンからCM料は正規の金額が入ります。その料金はダイハツがACジャパンに払います」
高堀氏は、こう説明した。なお、
「各局はCMをコンピューターで管理しています。『CMバンク』などと呼ばれ、差し替えは簡単です。今は間違って違うCMを流してしまう心配はありません」
「CMを自粛したら大打撃」
強いてテレビ局側に痛手となるとしたら、ダイハツの問題が長引いた場合に発生するという。
「これまでは『正月三が日はダイハツでいける』と思っていたのに、それが見込めないとなると、新たなスポンサーを探さなくてはなりません」
高堀氏によると、心配なのは、今回の問題がダイハツにとどまらなかった場合だ。それは、以前はたびたび大量の広告費を計上していると報じられていたトヨタ自動車(ただし、2020年度からは広告費は非開示)に飛び火する恐れだ。
ダイハツはトヨタの完全子会社で、奥平総一郎社長はトヨタの元専務。「民放がダイハツより懸念するのは、トヨタの動向に違いありません。トヨタが監督責任を問われ、CMを自粛したら大打撃です」。
(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)