安全性能担当部署の人員が「コスト低減」で大幅削減
4番目の「法規の不十分な理解」は、法規適合性を確認する業務の担当者でありながら「認証法規に関する研修を受けたことはなかった」「担当者として任されて、正解が分からないまま進んでいる」と供述する社員が散見されたとしている。
しかし、これを担当者の怠慢とだけ断ずるのは早計だ。報告書は、法規認証室が「コストを低減してダイハツの競争力を高める観点から」2011年頃から人員削減を行っていることを指摘。安全性能担当部署において衝突試験の実機評価を行う人員も、同じ時期から大幅な人員削減が行われているとしている。
報告書のグラフを見ると、法規認証室の人数は2009年を100%とした場合、2015年は43%と半分以下に減っているが、不正行為が突出して増加しているのもこの年だ。
安全性能担当部署の人数も、2011年を100%とした場合、2014年に40%に急減し、その後も40%が続いている。2022年には33%まで落ち込んでいるが、この年も不正行為の件数が突出している。
委員会のアンケートにも、従業員から「開発機種の数や日程の厳しさに対して人員が圧倒的に不足していると思います(中略)正社員若手社員の定着率が悪くこれからの担い手が育っていない」と指摘する回答があったという。